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「財産債務調書」を提出しなかった時のペナルティとは?

▼「財産債務調書」とは

 財産債務調書とは、個人の財産と債務の保有状況を税務署に申告するための書類です。

 もとは「財産及び債務の明細書」という名称でしたが、平成27年度税制改正により改名され、一定

の要件に該当する納税者について提出が義務付けられました。

 提出期限は、その年の翌年3月15日まで、つまり所得税の確定申告と同じ期限となります。


・提出義務のある人とは

確定申告をする必要のある人のうち、次の①、②のいずれも満たす人です。

①その年の所得の合計(退職所得を除く)が2千万円を超える人

②「3億円以上の財産」又は「1億円以上の国外転出特例対象財産」を保有する人


・3億円以上の財産とは

 対象の財産は、国内外にある土地、建物、山林、現金、預貯金、有価証券、貸付金、未収入金、書画、骨とう品、貴金属類などです。

 事業用の財産も含むため、賃貸用不動産も対象になります。もし投資ローンなど借入金の残高があっても「3億円以上」の判定において、借入金の元本を差し引くことはできません。なお、財産債務調書では債務の申告も必要ですので、借入金の残高も別途記載することになります。財産債務の価額は、 12月31日が基準になります。


・国外転出特例対象財産とは

 上場株式等の有価証券、未決済の信用取引・デリバティブ取引の権利などが該当します。


▼提出しなかった時のペナルティ

 財産債務調書を提出しない、あるいは財産を全て記載せずに提出すると、後に所得税などの税で「加算税」が生じた場合、その加算税がさらに5%加重されるペナルティを受けることがあります。

 たとえば賃貸不動産を財産債務調書に記載せず、その不動産から生じた賃貸収入の所得税の申告もしなかった場合に、その所得税の加算税が通常より5%増えるということです。

 通常の加算税は、無申告で10%~20%、過少申告で5%~15%、悪質なものにはさらに加重措置があります。 


・提出するとメリットも

 もし所得税などの申告漏れで、過少申告加算税が課された時に、申告漏れとなった財産が、財産債務調書に記載され、かつ期限内に提出されていた場合は、その加算税が5%軽減されます。


・国外財産調書には刑罰も

 財産債務調書とは別に、国外に5千万円以上の財産がある場合に提出しなければならない国外財産調書という書類があります。

 国外財産調書を提出しない、あるいは偽りの記載を記載した場合は、加算税を5%加重することに加えて、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金も科されることがあります。

 国外財産調書の提出期限は、財産債務調書と同じです。


▼財産債務調書は期限内に

 財産の価額は、見積り価額、時価、相続税評価額で判定します。

 どの方法で判定するかで金額も多少変化しますので、対象になりそうな方は、まず、提出義務の判定を税理士など専門家に相談しましょう。


 当初申告をしていなかったことに正当な理由がある場合や一定要件を満たす場合であれば、無申告加算税は免除/軽減されますので、早めの確認と対応を行いましょう。


ファイナンシャルプランナー 石田夏

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