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不動産投資のキャッシュフローが悪化する理由

 借入金を返済しながらの不動産投資において、キャッシュフローが重要であることは言うまでもありません。

 しかし、不動産投資のキャッシュフローは、仮に賃貸収入や借入金の返済額が一定であったとしても、年数が経過するにつれて悪化しやすい理由があります。


▼キャッシュフローが悪化する理由

▽減価償却費の減少

 不動産投資では、建物や建物附属設備の取得価額をそれぞれの耐用年数に応じて、減価償却費として毎年経費にすることができます。

 建物の耐用年数は、新築の状態でRC造47年、木造22年、鉄骨は骨格材の厚みに応じて19年~34年となります。電気設備や給排水設備などの建物附属設備は、15年ほどです。

 建物や建物附属設備の減価償却の方法は、いずれも定額法です。したがって、それぞれの耐用年数が終了するまで、毎年同額を経費として計上します。 

 このことから、最初の頃は収益を抑えられ税負担が軽減されますが、建物附属設備の耐用年数が終了した頃から徐々に税負担が重くなり、キャッシュフローの悪化に繋がります。


▽利息の支払いの減少

 返済額に含まれる利息も、年数とともに減少します。利息が減少すれば経費が減りますので、減価償却の減少と同様に、キャッシュフローの悪化に繋がります。特に、元利均等返済では、返済額は一定であるにもかかわらず、内訳の利息だけが減少するため、支払総額も減少していく元金均等返済よりも、キャッシュフローが悪化しやすいといえます。


 次の2つの例でキャッシュフロー(CF)の違いをご覧ください。

【例】

賃貸収入500万円、借入金の返済300万円(元金200万円、利息100万円)、諸経費100万円、減価償却費400万円、税額0円


この時のキャッシュフロー(CF)は、

  (CF)500万円ー300万円ー100万円=100万円


 しかし、減価償却が終了し、利息も減少すると、収入は変わらないのに赤字になる可能性があります。


【例】

賃貸収入500万円、借入金の返済300万円(元金280万円、利息20万円)、諸経費100万円、減価償却費0円、税額114万円(※)


この時のキャッシュフロー(CF)は、

  (CF)500万円ー300万円ー100万円ー114万円=▲14万円


 (※)便宜上税率30%で計算しています。


▽損益通算による還付もなくなる

 不動産投資を始めたばかりの頃は、減価償却費等によって、不動産所得がマイナスになるケースが少なくありません。その場合、会社員の方は、不動産所得と給与所得を損益通算することで、給与から源泉徴収された所得税の還付を受けることができます。不動産賃貸業のキャッシュフローではありませんが、金銭的に楽に感じるはずです。しかし、経費が減少すれば、こうした還付も受けられなくなります。


▼キャッシュフローの悪化を防ぐには

 減価償却費が減少する年以降に、新たな設備投資ができるよう資金を蓄えておくことが重要です。

 このように将来発生することがわかっている事態に備えながら、他の変動的な要素にも備えて

おくことが大切です。

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