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住宅ローン控除、転勤時に中断も 賃貸なら契約にご注意を!

▼住宅ローン控除が転勤で中断に

 住宅ローン控除の適用条件の一つに、控除を受ける人が、その年の12月31日まで引き続きその住宅を居住の用に供していなければならないというものがあります。

 この条件は住宅ローン控除を適用する10年間(あるいは13年間など)の各年において判定されます。そのため、控除を受けている人が転居すると、その間は要件を満たさず控除が中断されてしまいます。

 それでは、転勤というやむを得ない事情で転居しなければならなくなった場合でも控除が中断されるのかというと、これについては単身赴任で家族を残すのか、家族全員で転居して家を空けるのかによって扱いが異なります。


▽単身赴任の場合

 住宅ローン控除を受けている人が、転勤というやむを得ない事情によってその間だけ単身で家を出ることになっても、家族が引き続き居住していれば住宅ローン控除の適用を続けることができます。


▽家族全員で引っ越す場合

 家族全員で転勤先に引っ越す場合は、転居した日の属する年以降、住宅ローン控除が中断されます。転勤先から戻って再び入居した場合、控除期間に残りがあれば、残りの期間の住宅ローン控除を再開することができます。控除期間は延長されませんので、残りの期間がなければ控除は受けられません。


▼中断した控除を再開するには

 転居の日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を税務署に提出します。この時、年末調整用の申告書の交付を受けている人は、届出書に未使用分を添付します。再開する場合は必要書類を添付して確定申告をします。

▼空き家を賃貸する場合の注意点

 家族全員で引っ越す場合、住宅を賃貸することを検討される方もいらっしゃるでしょう。ローン返済の負担が軽減されるなど、賃貸はメリットの多い選択ですが、注意点もあります。


▽「契約」に注意

 賃貸でもっとも注意すべきことは、契約によっては借り主に家をすぐに明け渡してもらえない可能性があることです。一般的な賃貸は、借地借家法の「普通借家契約」にあたり、借り主の権利が手厚く守られています。例えば、貸し主が2年で戻る予定なので、契約期間を2年に定めて契約をしたとします。しかし、2年後に借り主が更新を希望すれば、貸し主に正当な理由がない限り、それを拒否することはできません。このトラブルをなくすために「定期借家契約」を締結することで、契約期間の満了時に賃貸を終了させることができます。ただし、借り主の権利が弱い分、相場よりも賃料が低くなることが考えられます。


▽金融機関に報告・相談を

 住宅ローンを組んでいる建物を賃貸する場合は、金融機関にも相談しておきましょう。住宅用と賃貸用(投資用)とではローンの条件が異なるため、後に発覚すると契約違反になる可能性もあるからです。

 一時的な転勤については住宅ローンの継続が認められることが一般的ですが、トラブル防止のために相談しておきましょう。


▼住宅ローン控除の再開時期

 転勤中に賃貸しなかった場合は、居住を再開した年から控除を再適用することができます。これに対して賃貸していた場合は、その翌年からの再開となります。

 一級FP技能士 石田夏



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