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相続で取得した 不動産の売却にかかる税金②

 前回は、物件を売却した時にかかる税金の基本についてお話ししました。今回は相続で取得した物件売却に関するありがちな疑問についてお話しいたします。


▼相続で取得した物件の取得費はどうするの?

 物件売却の課税は売却益すなわち「収入金額―取得費―譲渡費用」に対して行われることは前回お話ししました。では、親から相続した物件はタダでもらったのだから取得費はゼロで大変な税金がかかるのでしょうか。

 相続でもらった物件については親が取得した金額をそのまま引き継ぐことになっていますのでご安心ください。建物であれば親が購入した時の金額から減価償却費を差し引いた金額が取得費に、土地であれば親が購入した時の金額が取得費になります。


▼古すぎて資料が何もない!

 親が購入した物件は古すぎて資料が何もない、あるいはそもそも先祖伝来の土地で購入していな

い、そんな物件もあるかと思います。そんなときはやっぱり取得費はゼロなのでしょうか?そんな

場合に利用できるのが概算取得費の特例です。

 これは収入金額の5%を取得費として処理してもいいと言う特例です。逆に言うと収入金額の95%は課税されてしまうので、ないよりはましと考えた方がいいかも知れませんね。

 また、土地と建物を売却する場合、土地は先祖伝来のものだが建物は親が建てて資料も残っているような場合もあるかと思います。このような場合には土地に対して概算取得費の特例を適用し、建物は実際の取得費で計算することも認められます。


▼相続税評価は流用出来ないのか?

 先祖伝来の土地を相続で取得し相続税評価が5千万円、相続税も支払いました。こんな場合には取得費を相続税評価の5千万円としてもいいのでしょうか?このような相談も実際にあるのですが、この処理は認められません。


▼納めた相続税は費用に出来ないのか?

 それでは、納めた相続税はどうにかならないのでしょうか。実は相続税が課税された物件を売却する場合には「相続税の取得費加算」という特例が利用出来ます。前述の土地に対する相続税が200万円であったと仮定します。今回この土地を全て売却するとした場合、先の概算取得費5%+相続税の取得費加算で200万円を取得費として処理することが可能です。

 相続税の取得費加算には、1つ注意点があります。それは、物件の売却が相続税の申告期限から3年以内でなければ適用出来ないということです。適用期限が迫っているような場合には、進捗管理が重要な特例と言えます。


▼相続で取得した物件売却にかかる税率

 前回、売却物件の所有期間で税率が異なるというお話をいたしました。相続で取得した物件も同様に所有期間が5年以下の場合39.63%、所有期間が5年超の場合は20.315%の税率となります。


▼所有期間はどうするの?

 「親から相続取得した物件、自分は用がないからすぐに売却してお金に変えたいけど短期売買で約4割も税金で消えるのか?」と言うご相談もあります。

 結論から言うと、所有期間は親が取得した時点からカウントしますので親が購入した時点から5年超であれば約2割の税率で済みますし、先祖伝来の土地も同様です。


 今回は相続物件の売却に関する考え方と2つの基本的な特例についてお話しいたしました。次回はもう少し複雑な特例についてお話ししたいと思います。


税理士法人吉田会計 税理士 吉田和義



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