親が無くなり不動産を相続した場合、相続した物件を売却することがあるかもしれません。その
場合、はたしてどの様な税金がかかるでしょうか。
今回はそのような場合の税金についてお話します。
▼物件売却にかかる税金の基本
まずは一般的な物件売却に関するお話からしていきます。物件を売却した場合にありがちな勘違いですが、売却代金に税金がかかると思われている方が多くいらっしゃいます。課税の対象になるのは売却益になりますので、売却損が発生している場合には課税は発生しません。
また、サラリーマンで給与をもらっていたり事業を行っていて収入がある場合に、その収入と合算されると大変と心配される方がいますが、物件売却益の課税は「分離課税」と言って、給与や事業の収入とは切り離して税額が計算されます。
▼物件売却にかかる税率
先に述べた給与や事業収入は収入が増えると税率も上がる「累進税率」になっていますが、物件売却に対する税率は物件の所有期間に応じて異なります。
所有期間が5年以下の場合39.63%、所有期間が5年超の場合は20.315%の税率です。この税率には所得税の他、復興特別所得税や県民税・市民税が含まれています。大まかには5年以下の売買では約40%、5年超の売買では約20%と覚えておけばよいでしょう。
ちなみに税務上は所有期間5年以下の場合を短期、所有期間5年超の場合を長期と定義します。
▼売却益の計算方法
物件売却に当たっては、売却益に課税されるとお話ししましたが、売却益の計算が意外と大変です。
モノの売買は通常「売値―原価=利益」で表されますが、物件売却でもそれは変わりません。
物件売却の原価部分は「物件購入費+購入手数料+売却手数料」と言い換えることが出来ます。それぞれを税務の専門用語で言えば「売値」=「収入金額」、「物件購入費+購入手数料」
=「取得費」、「売却手数料」=「譲渡費用」となります。
▼取得費が大変です!
売却益の計算を個別にみて行きます。収入金額は実際に売却した金額なので問題ないと思います。譲渡費用は仲介業者に支払った手数料や契約書の印紙代がメインになります。
売却益の計算で一番厄介なものが取得費です。例えば土地であればその取得費は購入費と購入当時に仲介業者に支払った手数料の合計になります。
では建物は?不動産オーナーの皆様にはもうお分かりになるかも知れませんが、建物には「減価償却」と言う制度があります。
木造アパートを1億円で建てたとしたら、耐用年数を22年として毎年減価償却費450万円を経費として差し引けるあれです。
アパート建築10年経過後に物件を売却するとすれば、毎年経費として450万円、10年間で4500万円を経費として収入から差し引いてきたはずです。経費として引いた見返りに建築費1億円から4500万円の価値の減少を差引かれ、このアパートの取得費は5500万円と算定されます。
このように建物の場合には減価償却費分が取得費から差し引かれるので、売却益がその分大きく算定されることになります。
今回は物件売却の基本のみお伝えしました。相続においては、受け継いだもので細かいことが分からないこともあると思います。次回は、相続物件にありがちな疑問にお答えしていきます。
税理士法人吉田会計 税理士 吉田和義
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