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相続税法・改正 2019年執行①

 民法に記載がある相続に関する規定(相続法)の改正案が、2018年の通常国会に提出されて

成立し、今年2019年から順次施行されます。

 相続に関する規定は40年ほど見直されておらず、社会の変化が進むなか、残された配偶者の権利保護など、実情を考慮しトラブルを防ぐ内容になっています。

 改正の主なポイントを解説します。


▼新たに配偶者居住権を設定

 これまで相続人が複数いる場合、相続財産が家と土地が中心だと、自宅を処分し、売却金額を充てる必要がありました。

 これを解決するため、改正相続法では「配偶者居住権」が創設されました。これは住宅の所有権と居住権を分離し、故人の配偶者が所有権を持たなくても自宅に住み続けることを保障する仕組みです。

 ただし、所有権に比べると居住権のほうが弱いため、居住権登記の手続きを行い、権利を確保する必要があります

 もう1つ、婚姻期間が20年以上あれば、夫婦間で贈与された自宅は、遺産分割の対象から除外されます。これにより、高齢の配偶者の安定した生活を維持できます。


▼自筆証書遺言の作成・管理が容易に

 これまでは、すべて遺言は原則自筆で、財産目録も自筆で書く必要がありました。

 しかし、預金や株式などは、遺言を作成した後で変化するため、何度も遺言書を作成し直す必要がありました。

 改正相続法では、パソコンなどからの印刷物で済むようになりました。財産目録をパソコンで管理していれば、金額等に変更があっても上書きし随時印刷ができます。手書きの必要がなくなるので、財産目録の作成は非常に楽になります。

 また、自筆証書遺言を法務局で保管する制度も新設されます。これまでは自筆の遺言は自宅や信託銀行に内緒に保管されて、発見されないケースがあったり、また発見されても勝手に開封することができず、相続発生後に裁判所の「検印」を受ける必要がありました。

 この保管制度を活用すれば、検印の手続きが不要になりますし、発見できない危険もなくなります。保管を申請する際に、細かい内容のチェックもしてもらえるので、効力が発揮できる自筆証書遺言の作成が、これまでより手軽にできるようになります。


 他にも、「介護貢献度を寄与料として評価する制度」や「遺留分を正当な権利として保証する制度」などもあり、次回以降で解説します。

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