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【税金】平成30年度税制改正『家なき子』に規制

▼相続分野における平成30年度税制改正の概要

 平成30年度の税制改正において、相続・贈与分野では主に次の3点が見直されています。

  1. 事業承継税制の特例の創設

  2. 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し

  3. 小規模宅地についての相続税計算の見直し

 事業承継税制や一般社団法人の話はそもそも馴染みがないかと思われますので、今回は小規模宅地の特例に絞ってお話をしたいと思います。


▼小規模宅地の特例

 国税庁の統計によりますと、相続財産に占める土地の割合はここ2~3年は約4割となっています。そのうち宅地が約7割を占めており、日本人の保有財産における宅地のウェイトが相変わらず高いことがうかがえます。

 特に自宅用として使用している宅地は、相続発生後においても、残された相続人の生活基盤を維持していくうえで重要な財産であると言えます。 

 そこで最低限必要な面積部分については大幅な評価減を適用し、その自宅用の宅地に対する相続税の負担を軽減する仕組みが小規模宅地の特例です。

 この特例は商売用の土地も対象ですが、自宅用・商売用ともに適用要件がかなり複雑ですので、詳細は割愛させていただきます。

 一点覚えておいていただきたいことはお亡くなりになった方が居住用として使用していた宅地であれば、配偶者が相続した場合には、330㎡までその土地の評価を8割引きできると言うことです。

 仮に相続税評価1千万円の自宅敷地であれば評価が8百万円下がります。相続税の税率が最低の10%の方であれば8百万円×10%の80万円相続税が少なくなるのです。


▼改正前の「家なき子」特例

 それでは配偶者ではなく、同居もしていない子供が親の自宅の敷地を相続した場合にはどうでしょうか。

 子供が相続する場合、その子が自宅を持っていないので親の自宅を相続してすぐにではなくてもそこに住むことはあり得る話です。そのような場合には税額を軽減してあげようと言う趣旨の特例は世間的に共感されると思います。これを称して「家なき子」特例などと言います。

 簡単に言うと、相続開始時点で相続人たる子供が自分の家を持っていなければ小規模宅地の特例は適用できたのです。


▼「家なき子」に自らなる人続出!

 そうかそうか、相続開始時点で相続する子供が自宅を持っていなければいいのか。と言うことで、土地の評価が高い都内を中心に子供が自分で所有する自宅を手放す例が結構増え

たのです。

 その手放し方に問題のある方法が相当数あったことから、今回の改正に繋がったのです。

例えば、会社を所有している人なら、自分の会社に自宅を買ってもらって賃貸住宅にし、自分は賃借してそこに住む。これなら愛着ある自宅を実質的には手放さずに住み続け、更に相続税も安くなると言う訳です。


▼改正後の「家なき子」特例

 そこで、相続開始時に相続人が住んでいる家を、今現在は所有していなくても過去に所有していた場合等には亡くなった方の自宅敷地を小規模宅地の特例対象とはしないように改正がなされたのです。


 最近は節税封じの改正ペースが速いので、節税を図る場合には、常に改正の動向を気にしていかないといけないようです。


税理士法人吉田会計 税理士 吉田和義



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