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老後の資金対策をおすすめ順に紹介

 不動産収入のある方でも、老後の資金づくりに関心の高い人は多いと思います。老後の資金づくりの方法には、iDeCo・小規模企業共済・国民年金基金・つみたてNISA・個人年金保険などがありますが、不動産オーナーがこれらを選ぶ際は、次の点に注意しましょう。


加入中の節税効果

 黒字オーナーであれば、加入中の掛け金がすべて所得控除になり、不動産収入に対する所得税・住民税を節税しながら老後の資金づくりができるものを選ぶことがおすすめです。

受取時の所得の扱い

 受取時に所得(合計所得金額・総所得金額等)を上昇させるものを選ぶと、税金はもちろんのこと、老後の社会保険料や医療費の負担増に繋がります。なるべくこれらを増やさないで済むよう、有利な受け取り方ができるものを選びましょう。

▼加入年齢・受取開始年齢の制限

 60歳までしか加入できないものや65歳からしか受け取れないなど、年齢制限があるものに注意が必要です。


▼おすすめはiDeCo・共済

①税制優遇のiDeCo

 運用益が非課税、掛金はすべて所得控除、受け取り時の税制は一時金なら退職所得・年金なら公的年金等の雑所得という、税制面でもっとも優れた私的年金です。

 受け取り方法は一時金・年金・その併用から選択できるため、たとえば、退職所得控除額(加入年数×40万円。他に退職手当等を受け取っていると調整される)や公的年金控除額(公的年金と合わせて年110万円。所得が多いと90万円まで下がる)の残額に応じて受け取り方を調整し、所得の増加なしで受け取ることも可能です。「自分で運用商品を選ぶのが嫌だ…」という方は、税制メリットが似ている国民年金基金や小規模企業共済を検討しましょう。

 【加入年齢:原則60歳・最大64歳】【受取開始年齢:60歳~】


②高齢でも加入できる小規模企業共済

 個人事業主の退職金代わりと呼ばれる制度で、加入年齢に制限がなく、税制面ではiDeCoとほぼ同じメリットがあります。掛金上限がiDeCoと別枠なので、節税効果の上乗せに最適です。また、年齢制限でiDeCoに加入できない黒字オーナーの利用にも向いています。ただし、最高額の共済金Aの受け取りは完全廃業が条件であり、次点の共済金Bは65歳以上で15年の加入期間が必要です。これらの共済事由に該当せず任意解約すると、20年未満は元本割れするため、加入年齢が高い場合は注意が必要です。


③年齢制限なしのつみたてNISA

 加入中の所得控除はありませんが、運用益や分配金が投資限度額まで非課税になるため、投資初期でも効率よく複利を上げることができる制度です。

 加入や受取りに年齢制限がないため、年齢でiDeCoに加入できない方やローン返済中で資金繰りに不安がある方にもおすすめできます。確定申告不要制度によって、合計所得金額を増やさずに利益確定できる点も魅力です。


④長生きリスクに備える国民年金基金

 国民年金の第1号被保険者(自営業者など)や任意加入者を対象とする、国民年金の上乗せ制度です。税制面でiDeCoとほぼ同じメリットを受けながら年金を確定額で生涯にわたり受け取れる特長があります。

 ただし、掛金総額に対して元が取れる年齢が高めなので、将来の年金が公的年金等控除額に満たない方のうち「リスクのある投資は苦手だが、少ない年金で長生きしたときに備えたい」という方におすすめできます。

 【加入年齢:原則60歳・最大64歳】【受取開始年齢:65歳~】【掛金限度額:iDeCoと共有】


⑤優先度の低い個人年金保険

 保険会社による個人年金保険は、加入中の所得控除が少なく、さらに受取額のうち利益に相当する額は、控除なしで雑所得に加算されてしまいます。これから加入する場合は、先に他の制度から検討しましょう。

 一級FP技能士 石田夏



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