令和6年以降、電子取引において授受した取引情報(請求書等に通常記載される、日付・取引先・金額等の情報)のデータ保存の義務化が本格的に開始されます。
▼具体的な保存方法
▽電子メールで請求書を受け取った場合
添付された請求書のデータ(メール本文に取引情報が記載されている場合は、メールそのもの)を、自社サーバーやパソコンのハードディスクなどに保存します。
▽Webサイトで領収書を受け取った場合
・領収書がPDF等の場合
①領収書をダウンロードして自社サーバー等に保存する
②そのWebサイト上に領収書を保存する
・領収書がHTMLデータの場合
①そのWebサイト上に領収書を保存する
②Webサイト上に表示される領収書をスクショし、サーバ等に保存する
③HTMLデータを領収書の形式に変換(PDF等)し、サーバ等に保存する
▽クラウドサービスで領収書を受け取った場合
①領収書をダウンロードして、サーバ等に保存する
②そのクラウド上に領収書を保存する
▼注意:真実性・可視性の要件
電子取引をデータで保存する際、下記の真実性の要件・可視性の要件の両方を満たさなければなりません。
▽真実性の要件とは
改ざん防止のための要件で、①~④のうちいずれか1つを満たす必要があります。複数の改ざん防止措置を、電子取引の形態などで使い分けることも認められます。
▽可視性の要件とは
3つともすべて満たす必要があります。ただし、2期前の売上が1千万円以下の小規模な事業者は、税務調査の際にデータのダウンロードの求め(税務職員への提示等)に対応できる場合、「検索機能の確保(左図㋒)」は不要です。
▼個人オーナーにお勧めの保存方法
真実性の要件で、タイムスタンプ機能や訂正・削除不可等の要件を備えるシステムを導入できない場合は、④の事務処理規程を定めて遵守することでも構いません。事務処理規程については、国税庁がひな型を「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」などで公開しています。
可視性の要件では、一般的なパソコンにおいて検索機能を確保する方法として、エクセルなどで連番の索引簿を作成し、ファイル名を連番にする方法や、ファイル名を「日付・金額・取引先」など規則性のある名称にする方法が国税庁より紹介されています。
個人やご家族で賃貸経営をされている方は、こうした保存方法を選択することで、導入コストの負担を軽減できると考えられます。
一級FP技能士 石田夏
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