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地面師グループは今後も増える?積水ハウスの63憶円事件の経過を知る

 昨年、積水ハウスが63億円を地面師グループから騙し取られるというショッキングな事件が発生しました。

 事件が動いたのは今年10月。土地の所有者になりすました女を含めて容疑者8人が逮捕され、さらに翌11月には主犯格の男1名が逮捕されました。現在はフィリピンに出国したもう1人の主犯格とみられる男の行方を追うとともに捜査が続いています。 


▼地面師ってなに?

 地面師とは、書類を偽造するなどして土地の所有者になりすまし、勝手に土地を売買してその転売利益を得る詐欺師のことです。

 バブル期に多くみられた手口ですが、今後は東京オリンピックによる地価の上昇を狙った被害が懸念されています。


▼事件の経緯

 事件となった取引は、昨年の春に行われたものです。積水ハウスは犯人グループの手配で売買契約を締結し支払いを終えました。ところが、同年6月に法務局から登記を却下する通知が行われたことで、被害が発覚したのです。

 詐欺に使われた土地は、70代女性が所有する都心の1等地で、かねてから注目される優良物件でした。この事件を受けて、積水ハウスは、実質の損害額である55億5千万円の特別損失を計上しています。


▼なぜ地面師に騙されるの?

 なぜ大手住宅メーカーまでもが地面師に騙されてしまうのでしょうか。その理由は地面師グループの巧妙な手口にあります。


・完璧ななりすまし

 今回の犯行で、なりすまし役の女は公証人役場での「本人確認」をクリアしています。このことが担当社員の油断を生んだ要因の一つです。

 地面師は、本物と区別がつかない精巧な偽造パスポート等を用意し、まず公的機関の目を欺いてから近づいてくるのです。


・プロの犯行

 今回の犯行は、交渉役、手配役、なりすまし役などの複数人で担当社員を騙しています。いわゆる「劇場型」とよばれる方法です。

また今回逮捕された容疑者の1人は、過去にアパホテル関連会社の地面師グループ事件(被害額約12億円)でも逮捕されたことのある、いわゆるプロの地面師でした。


▼どうすれば防げるの?

 本人確認が行われている以上、同様の被害を防ぐことは極めて困難です。担当社員の立場でお客さんに疑いを向けることには限界があります。

 一方、こうした手口があるとわかった以上、今後は所有者側の自衛策も必要です。

 例えば、空き地や無人状態の家を放置しないこと、印鑑登録や登記事項証明書のこまめな確認は、地面師に乗っ取られないための対策になります。

 また購入側は、優良物件の取引話をもちかけられても、信頼できる司法書士を自分から指定することや、対話の中で不審点がないか探るなど、より慎重な姿勢をとることが大切です。


 ファイナンシャルプランナー 石田夏



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