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【法律】契約更新時の要望とその対処法!

更新日:2018年11月1日

 繁忙期となり新規入居者が増えてきていると思いますが、同時に更新契約も多い時期です。今回は、大家さんまたは借主からの更新時の要望事例についてお話しします。


●更新時に家賃を下げて欲しい!

 大家さんは「家賃を上げたい」し、借主は「下げて欲しい」という要望になりますが、どちらにしてもその根拠を示さなければならないということになります。一般的には周辺の相場をもとに判断しています。

 大家さんとしては出来るだけ下げたくはないのは分かりますが、実際築年数の経過とともに相場が下がっていきますし、万一解約となってしまうと、再募集のリフォーム費用や空室期間のデメリットがありますので多少相談に応じて引き続き住んでもらった方が収支的には

プラスになるのではないでしょうか。


(参考)借地借家法32条1項・3項

(借賃増減額請求権)建物の借賃が土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増減しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。


●更新後1ヶ月で解約したいから更新料を免除して欲しい!

 更新料は2年間の賃借権を保証するために支払う賃料の一部前払いの性質のものですから、期間は1ヶ月で、かつ、退去も決まっている(解約通知が書面にて出ている等)ということであれば、全額を支払うのではなく、24分の1程度の金額で合意する等の対応が考えられます。ただし、実務上は、話し合いにより全額を免除する場合が多いです。

 また、更新料は最高裁で有効という判決がでてはいますが、「更新料がかかるからこのタイミングで引越しを」という借主の引越し理由が非常に増えていますので、今後は更新料なしの物件が当たり前になってくるかもしれません。


(参考)更新料の法的性質

(平成23年7月15日最高裁判決説示抜粋)更新料は賃料とともに賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払いにより賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからすると、更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。


●更新しないで賃貸借契約を終了したい!

 借主が承諾しない限りは、大家さんからの更新拒絶は基本的には「難しい」と理解してください。それは大家さんが更新を拒絶する「正当の事由」が必要となるからです。

 何が正当事由となるかは、裁判の判断に委ねられていて、多数の判例がありますが、借地借家法の趣旨に照らせば、借家人(賃借人)に有利になる傾向になっています。

 また、裁判の現実として、「立退料」の提供が全くなく「正当の事由」が認められることは極めて稀となっています。


(参考)借地借家法第28条

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件) 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換に建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。



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