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平成31年(令和元年)度税制改正②  配偶者居住権の評価

 前回は配偶者居住権についてお話しいたしました。今回は配偶者居住権の相続税評価についてお伝えします。


▼配偶者居住権の相続税評価

 配偶者居住権はあくまでも自宅建物についての権利ですが、敷地の使用権も同時に取得することとなりますので、その敷地の権利も評価対象になります。

そのため、評価額は次の4点が登場します。

  1. 配偶者居住権

  2. 配偶者居住権付建物の所有権

  3. 配偶者居住権に基づく敷地利用権

  4. 敷地の所有権

 それぞれの計算は図1、権利関係のイメージは図2のようになります。


▼配偶者居住権の残存年数とは?

 図1の中に出てくる「配偶者居住権の残存年数」について補足します。

 配偶者居住権は原則として残された妻(夫)が自宅に生涯住み続ける権利です。このため、妻(夫)が何歳なのか、あと何年住むのかが非常に重要です。しかし、人の寿命は分かりません。そこで平均余命からあと何年寿命があるか推定するのです。ちなみに現在の平均余命表では女性で80歳の場合平均余命は11年となっています。実はこれがそのまま「配偶者居住権の残存年数」となります。


▼具体的な数値例

 理解のためにモデルを示してみたいと思います。また、説明便宜のため、小規模宅地の特例については省略しています。

  • 建物の固定資産税評価:500万円

  • 残存耐用年数:23年

  • 敷地の相続税評価:1千万円

  • 奥様の年齢:80歳(余命11年)

  • 複利現価率:0.72

 以上の例の場合、評価額は次のようになります。

  1. 配偶者居住権評価額:312万円

  2. 配偶者居住権付建物の所有権評価額:188万円

  3. 配偶者居住権に基づく敷地利用権:280万円

  4. 敷地の所有権:720万円


▼具体例から分かること

 このモデルでは残された配偶者が取得する権利は①+③で592万円、配偶者以外の相続人が取得する権利が②+④で908万円、合計1500万円となっています。

 当然と言えば当然なのですが、もともとの評価1500万円を按分しただけなので金額の総体に変動はありません。しかしながら、配偶者がこの権利を利用することでそれ以外の相続人の相続税が減少することもあり得ます。

 評価方法の詳細については割愛させていただきましたが大筋は覚えておかれるとよいかと思います。


税理士法人吉田会計 税理士 吉田和義

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