top of page

賃貸物件で近隣トラブルが発生した場合の家主の責任と対処法②騒音編

  • 執筆者の写真: 賃貸経営TIMES
    賃貸経営TIMES
  • 6 時間前
  • 読了時間: 3分

 賃貸物件でのトラブル事項の2つ目は『騒音』です。


▼よくある『騒音』相談

 県や市が主催する無料法律相談でよく聞かれるのが、隣や上の部屋の住人による騒音被害を何とかできないかという相談です。

ree

 具体的には、足音、子供の飛び跳ねや走り回りによる衝撃音、話し声や子供の泣き声、ドアの開閉や椅子を移動する際の音、掃除機の稼働音、トイレの排水音、テレビやオーディオ機器からの音など、人が生活する上で様々な生活音が発生し、それが隣や階下の部屋に響くことでトラブルになるわけですが、問題は、うるさいと感じられる音が聞く人によって異なり、嫌な音ほど大きな音のように聞こえがちであるという点です。


▼実際の法律相談での回答

 法律相談での回答としては次のような内容になります。

  1. 市町村ごとに「騒音の環境基準」が定められており、ネット検索で簡単に確認できる

  2. 市町村の環境課で騒音計の貸し出しを行っていれば、それを借りて実際の騒音を測定して記録する(市町村に貸出制度がなければ、業者から「普通騒音計」をレンタルして測定する。1か月3万円程度)、

  3. 測定値が環境基準を超える場合は、賃貸人に対して改善を要求できるが、賃貸人が適切な対応をしてくれなければ引っ越すしかない

  4. 賃貸人に対し、引越代相当額の損害賠償請求ができる可能性があるが、賃貸人が任意の支払いを拒絶すれば裁判をしなければならず、弁護士費用が最低でも50万円程度はかかるため、仮に勝訴したとしても赤字になる

  5. 頑張って色々と調査しても法的措置をとった時点で即赤字が確定するため、騒音が耐えられないのであればダメもとで賃貸人に改善を求めてみて、それでも改善しなかったら自腹で引っ越すのが現実的な解決策になる。

 これらを説明すると相談者の全員がとてもガッカリした顔になるので心が痛みますが、弁護士としてどうすることもできません。


▼家主の責任と対処法

 法律上賃貸人には、賃貸物件を住居として円満な状態で使用させる法的義務があるため「社会通念上受忍すべき限度を超える騒音」が住居内で発生しているときはそれを除去しなければならず、除去しなければ賃借人から損害賠償請求を受けます。

 「社会通念上受忍すべき限度を超える騒音」にあたるかどうかは、一義的に明確な基準はないものの、裁判所は市町村が定める「騒音の環境基準」を大いに参考にします。そして、違法な騒音を発生している人が別の賃借人であるときは、賃貸人は、賃貸借契約に基づき、騒音を発生させている賃借人に対し、違法な騒音を発生させないように要求し、それに応じなければ法的措置(損害賠償請求や差し止め請求など)を講じて違法な騒音の発生を防止すべく最善の努力をすることが求められます。

 とはいえ、騒音被害にあった賃借人は、前述のとおり泣き寝入りして自腹で引っ越すしかないのが現実です。しかし、前賃借人が騒音被害に耐えかねて退去した物件であることを隠して貸すと、新賃借人から賃貸借契約を解除された上で入居費用と転居費用相当額の損害賠償請求を受けるリスクが発生しますし、物件を仲介した不動産業者を共同被告にされると面倒な事態になるため注意が必要です。

ree

弁護士Y


コメント


Copyright c 2011 BS CONSULTING Inc., All rights reserved.

  • Facebookの社会的なアイコン
  • Facebook Black Round
bottom of page