空室率が年々増していく中、既存物件の差別化が難しくなってきています。募集物件をインターネットで見てみると、同じような見た目に違いが分かりにくい物件が多く掲載されています。実際、決まらない物件は、競合物件との違いが分かりにくい物件です。
そこで、今回は見た目で物件を良く見せるホームステージングについてお伝えしたいと思います。
▼ホームステージングとは
ホームステージングとは『物件の価値を上げる為に部屋を魅力的に演出する事』です。部屋を家具やカーテン、花、おしゃれな小物などで飾りつけ、部屋を魅力的に見せる事です。
▼ホームステージングBefore After
あるアパートを空室対策としてホームステージングした事例です。
空室をそのまま見ても住むときのイメージが明確になりません。ところが家具やカーテンなどを配置すると、その部屋に住むイメージが明確になり契約に結び付くことになります。
この部屋は都内にある1DKで空室期間4か月でした。ホームステージングを実施したところ1週間で2件の申し込みが入りました。費用は部屋全体で3万円です。
この様にホームステージングは費用対効果が非常に大きいことがわかります。
▼3つのキーポイント
ホームステージングで成功する為には3つのポイントがあります。
①お客様目線で物件をチェック
まず、オーナーが住んでもらいたいと考えるお客様(ターゲット)を明確にする必要があります。ターゲットのプロフィールを細かく設定します。
プロフィール:年齢35歳、独身でお付き合いしている彼がいる。職業:看護士(夜勤あり)、趣味は料理、このプロフィールを元にお客様目線で好まれる部屋作りをします。
例えば夜勤があるので、昼間は静かに眠れる様落ち着いた色のカーテンを付けたり、料理が趣味なので料理するイメージを沸く様にキッチンを重点的に飾り付けたりします。
②装飾ではなく演出をする
ホームステージング初心者は多くの小物を部屋一杯に飾り付けたりしますが、これだと部屋がごちゃごちゃして良くありません。
ホームステージングは装飾ではなく演出です。演出は【明るい】【広い】【清潔】この3つのキーワードで部部屋を飾ります。
【明るい】明るい部屋にするためには光の使い方が大事です。照明器具やカーテンなどの選択がポイントです。床材が暗い時には明るいラグを敷くなどして明るさを演出します。
【広い】広さを感じさせるためには家具類の配置を工夫します。部屋の中心部はなるべくモノを置かない事。部屋のコーナー部に家具をコンパクトに配しましょう。また、壁面に大きな絵を飾ることも効果的です。
【清潔】事前に部屋を清掃しましょう。部屋をきれいな小物で飾ると逆に今まで目立たなかった汚れなどが目につく様になります。スイッチ/コンセントプレート、キッチンや靴箱の取っ手、蛇口など直接手に触れるものは清潔に保ちましょう。
③フォーカルポイントを決める
フォーカルポイントとは人の視線が集まる場所です。例えば部屋に入るドアを開けた時に最初に見るエリアのことです。
全体を飾り付ける事は予算に制約がある賃貸住宅の場合は、全ての部屋をステージングすることは得策ではありません。最初にフォーカルポイントを決め、そこを重点的にステージングしていくことが効果的です。
▼ホームステージングの実例
次に実際のホームステージングの実例を紹介します。
レースカーテンで殺風景な外景を遮断し、壁にタペストリーを吊るしアクセントにしました。暗いコーナー部にはスタンドライトを置き、部屋を明るくなるよう演出しました。
大きめのテーブルを置き食器やフルーツ類を並べ、彼女(彼)を招いて食事するイメージを再現しました。
▼ステージング後のアクション
ホームステージングを実施しただけでは空室は埋まりません。内見者を呼ぶのは言うまでもなく不動産会社です。
魅力的に変わった写真をもって、仲介してくれる会社を訪問しましょう。そして実際に部屋を見て頂きましょう。
不動産会社の担当者が部屋を気に入っていただく事が空室対策のポイントです。
今回ご説明した通り、ホームステージングはとても効果的です。しかし、実践するのに躊躇するオーナーが多い事も事実です。自分のセンスに自身がなくてもお手本を真似すれば良いですいし、効果が不安ならば一部だけでもやってみる、これを機に最初の一歩を踏み出しましょう。
不動産オーナー 加藤茂助
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