遺言書にまつわる注意点やトラブル ③自筆証書遺言補完制度
- 賃貸経営TIMES
- 23 時間前
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今回は自筆証書遺言補完制度についてお伝えします。
▼自筆証書遺言書保管制度
「自筆証書遺言書保管制度」は、普通の人が独力で遺言書を作る前提で制度設計されたもので、法務局が公式サイトで懇切丁寧にやり方を説明してくれています。そのため、最初に作る遺言書としては最適です。
財産目録に限ってはパソコンで作成したものを添付することができるため、財産目録を活用すれば作成の手間を大きく減らすことができます。費用も3900円と安価であり、遺言者が死亡すれば事前指定した人(最大3人)に保管されている遺言書があると知らせてくれ、相続人の誰か一人が保管されている遺言書を閲覧すると自動的に全相続人に対して保管されている遺言書があると知らせてくれます。さらに、遺言者の死亡後50年間も保存してくれますので、遺言書が発見されないリスク、紛失・改ざんリスクを大きく減らすことができます。
遺言者は、遺言書を作成する過程で、財産目録を作成して自分の財産を整理し、誰にどの財産を相続させるかを熟考することになります。最終的に遺言書の作成を弁護士に頼むことになったとしても、まずは自分でやってみることで様々な気付きを得ることができるメリットがあります。
法務局に保管した後に遺言内容を変更したくなったとしても、古い遺言書を取り下げて新しい遺言書を登録し直すだけでよく、デメリットは3900円の手数料が再びかかることだけです。
相続人にとっても、「検認手続」が要らないとというメリットがあります。
▼通常の遺言書の場合
通常、遺言書を発見した相続人は、封がしてあるかどうかに関係なく、家庭裁判所に対し、遺言書の検認の申立てをしなければなりません。
また封がしてある遺言書は、裁判官が全相続人の目の前でハサミを入れて開封し、その場でテーブルの上に中身を全て出して全文を読み上げて確認した後、裁判所書記官に封筒と中身を全てコピーさせて期日調書に添付します。それによって、以後の紛失・改ざんリスクをなくすのです。
▼自筆証書遺言書保管制度のメリット
「自筆証書遺言書保管制度」を利用した遺言書であれば検認が不要になりますし、封がしてある遺言書を相続人の一人が勝手に開けてしまうトラブルについても未然に防ぐことができます。
封がしてある遺言書が発見された場合は、全相続人の面前で裁判官が直々に開封しなければならないため、手間も時間もかかるのに対して、「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば検認が不要になるため、相続人の負担を大きく減らすことができます。
「自筆証書遺言書保管制度」ができる前は、遺言書を作りたければ、法律事務所や公証役場に何度も行かねばならず、最低でも20万円前後の費用がかかりました。
しかし、「自筆証書遺言書保管制度」によって遺言書を作成するハードルは大きく下がり、誰でも気軽に遺言書を作成することができる時代になったと言えます。
次回は、遺言書を絶対に作るべき人についてお伝えします。
元弁護士Y
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