不動産小口化商品の相続税評価方法変更
- 7月20日
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貸付用不動産の市場価格と通達評価額の乖離(かいり)を利用した相続税や贈与税の大幅な圧縮事例が問題視され、令和8年度税制改正では2つの見直しが行われました。
一つは、貸付用不動産の「5年ルール」、そしてもう一つは「不動産小口化商品」の評価方法の見直しです。
▼不動産小口化商品とは

不動産小口化商品は、投資用不動産を小口化して販売し、投資家に購入口数に応じた利益を分配する仕組みです。
貸付用不動産と同様の財産評価(路線価方式などの通達評価)が可能な商品として、任意組合型などの不動産特定共同事業(FTK)契約に基づく商品や、信託会社に不動産事業を委託し、投資家が信託受益権を得る商品があります。
▼問題視された事例
昨年の政府税制調査会専門家会合において問題視されたのは、不動産小口化商品の贈与において、購入額の約2割の評価額で相続税が計算された事例です。具体的には、3千万円で購入した信託契約に基づく不動産小口化商品を、購入の5か月後に贈与した際、480万円の評価となった事例が報告されています。仮に同額を現金で贈与すれば納税額は一千万円を超えますが、事例の納税額は50万円未満となります。さらにこの事例の受贈者は、その後、取得価額とほぼ同額で換金しており、通達評価額と市場価格との大幅な乖離が確認されています。
▼改正後の評価方法
令和8年度税制改正大綱において、「不動産特定共同事業契約または信託受益権に係る金融商品取引契約のうち一定のもの」のうち、令和9年以降、相続や贈与によって取得されたものは、「通常の取引価額に相当する金額」によって評価することとされました。
この「通常の取引価額に相当する金額」については、次の価格を参酌して求めた金額となります。
出資者等の求めに応じて事業者等が示した適正な処分価格・買取価格等
事業者等が把握している適正な売買実例価額
定期報告書等に記載された不動産の価格等
※これらに該当する価額がない場合には、貸付用不動産に準じて評価します。
▼適用開始の時期に注意
令和9年1月1日以降、相続や贈与で取得する商品が対象です。貸付用不動産で示された「5年ルール」はなく、取得時期にかかわらず新しい評価方法の対象になります。親や祖父母などがすでに購入済みの不動産小口化商品について、令和9年以降に贈与・相続があった場合、改正後の評価の対象になる可能性があるのです。
▼今後の対応について
詳細な改正内容については国税庁による通達が待たれますが、改正の影響を受ける不動産小口化商品は、問題視された事例から考えて、現物不動産と同等の評価減ができる商品(相続税等の節税効果の高い商品)になると考えられます。
手持ちの不動産小口化商品が改正後の評価の対象になる場合の対策としては、早めに専門家に相談することが重要です。
本年中の贈与であれば現行の評価方法が適用されますが、それが本当に有利になるかは、個別にシミュレーションをしなければわかりません。かえって税負担が増えるケースもある上に、現行の方法で節税が叶っても、大幅な租税回避は従来どおり通達の総則6項に基づき国税庁の個別評価が適用される可能性もあります。
国税庁の動きが待たれる状況ではありますが、早めに専門家にコンタクトを取れる準備をしておくと良いでしょう。
一級FP技能士 石田夏

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