高断熱性の素材を使用した屋根や壁、省エネ設備により大幅な省エネルギー化を実現した上で、屋上部に太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を導入し、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した集合住宅「ZEH(ゼッチ)賃貸住宅」に注目が集まっています。
ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、戸建ての場合はZEH住宅、集合住宅の場合はZEH集合住宅やZEH-M(ゼッチマンション)と呼ばれます。
▼戸建ては半数以上がZEHに
経済産業省では2020年までにハウスメーカーなどが新築する注文戸建の半数以上でZEHの実現を目指しており、ZEH住宅比率50%を目指す「ZEHビルダー制度」ができるなど、普及に向けた取り組みが進行しています。
消費エネルギーを抑えつつ、太陽光発電などにより電力を創り出すことを目的としているため、ZEH化の波は戸建てだけでなく集合住宅にも広まってきています。
大成建設グループの大成有楽不動産で「ZEH‐M Oriented」というZEH認証の1つを受けたマンションがニュースになりましたが、近年大手開発事業者が積極的に取り組む姿勢を見せています。
▼ZEH賃貸住宅の長所と短所
ZEH住宅では次の3つの要件を満たす必要があります。
高断熱でエネルギーを極力必要としない
エコ給湯器やLED照明、床暖房などの設備でエネルギーを上手に使う
太陽光発電などでエネルギーを創る
そのため、建築コストは一般的な住宅に対して上がりますし、ZEH集合住宅を建築可能だとして公表されているZEHデベロッパーは多くありません。
しかし、住宅としての質が高くなるため家賃を高く設定しやすく、高稼働も期待できます。さらには太陽光発電における余剰電力の売電収入や、国からの補助金も受けられる点では大きなメリットがあります。
▼充実したZEH補助金制度
集合住宅では経済産業省と環境省がZEH集合住宅に対して補助金制度を設けています。
例えば住宅部分が4~20層なら対象経費の最大1/3(上限8億円)が、21層以上の高層マンションなら対象経費の最大1/2が補助されるといった充実の内容です。
今後賃貸集合住宅を建築する上では、ZEHがキーワードの1つになることは間違いないでしょう。
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