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【相続】アパート経営が相続税対策に効くワケ①

 賃貸オーナーの皆様はよくお聞きになるかも知れませんが、賃貸用不動産が相続税対策に有効であるとされます。それがどのような理屈に基づくものなのか数回に分けて解説していきたいと思います。


相続税における「土地」評価

 土地についての評価は路線価方式だとか倍率方式、場合によっては公示地価など耳にされると思います。

 結論から言うと、市街化区域においてはほぼ路線価方式、それ以外の区域においては倍率方式によって評価します。今回は土地の評価については省略させていただき、別の機会をいただきたいと思います。


相続税における「建物」評価

 それでは、相続税において建物はどのように評価するのでしょうか?

 相続税のご相談をいただくなかでよくあるのですが、「うちの自宅は古いから価値はゼロですよね」とおっしゃる方がいらっしゃいます。果たしてそうでしょうか?確かに売却価値はないかもしれませんが、相続税の評価がゼロとは限りません。むしろゼロでない場合が圧倒的です。

 それは、相続税における建物評価が固定資産税の評価額そのものだからです。実は相続税には独自の建物評価算定方式がなく、市区町村が算定する固定資産税課税のための評価額を原則そのまま流用しているのです。


建物の固定資産税評価はゼロにならない!

 オーナーの皆様は毎年の固定資税額は気にしておられると思いますが、個々の物件ごとの固定資産税評価額はご確認されていますか?

課税明細書ご確認いただくと、古い物件に結構な評価額が付されていることに驚かれるかもしれません。建物はどんなに古くなっても当初評価の2割評価なのです。

 固定資産税評価においても、建物は減価償却の手法で毎年価値を減少させていくのですが、2割まで評価が下がったところで打ち止めとなり、建物が無くなるまでそれ以上は下がらないのです。


当事務所のお客様が保有している昭和四十年代の木造貸家(十坪)は何と三十万円の評価が三十年近く継続し、毎年四千二百円の固定資産税を納付し続けています。

 所得税における減価償却は既に終了しており、簿価が一円となっている物件にこのお客様はこれからも毎年固定資産税を納め続けることになるのです。


取壊しも検討すべき!

 さて、このお客様、実は同じタイプの貸家を十軒所有されています。単純に計算する

と貸家だけで三百万円の相続財産です。古い物件であり空室が大部分であることから、思

い切って取壊しを決意されました。

 今回は固定資産税評価が意外と高いと言う話で終わりますが、次回は、固定資産税評価を味方につけた賃貸用不動産による相続税対策の有効性についてお話ししたいと思います。


税理士法人吉田会計 税理士 吉田和義



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