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【建築】対応が求められる『インスペクション』③ホームインスペクション

 ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通したホームインスペクター(建築士)が、客観的な立場かつ専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見極め、専門的にインスペクション(診断)を行うものです。

 住宅の売買にあたり、ホームインスペクションを行うことで、建物のコンディションを把握し、安心して取引を行うことができますし、もちろん居住中のご自宅について調べることもあります。また、不動産仲介業者が物件の状況を消費者に明らかにするために利用するケースも増えています。


▼診断の方法

 診断の方法は、目視が中心で、屋根、外壁、室内、小屋裏、床下などの劣化状態を診断する基礎的な「現況検査」が基本です。

 米国などでは、州によっても異なりますが、取引全体の半数以上の割合でホームインスペクションが行われており、常識となっています。そして日本でも近年、急速に普及しはじめています。


▼インスペクションの種類

 中古住宅の売買時の検査としてのインスペクションは、大きく次の3つの段階に分かれています。

  1. 現況検査:中古住宅の現況を把握するための基礎的な検査

  2. 詳細なインスペクション:劣化の生じている範囲や不具合の生じている原因などを把握するための詳細診断

  3. 性能向上インスペクション:現況から性能を向上させたときの性能を把握する診断


 国土交通省のガイドラインにあるホームインスペクションは、この最初の「現況検査」に相当します。外壁や基礎に不具合の兆候は見られないか、室内に雨漏りの形跡はないかなどを目視で確認し、建物のコンディションを診断依頼者に説明します。また、ホームインスペクションではわからない項目で懸念があるものは、詳細診断の可能性を診断依頼者に説明します。

 インスペクションは多岐にわたっており、雨漏りの状況や家の傾きなどを確認する検査・詳細診断だけでなく、診断依頼者の目的により特定の部材の劣化進度を調べたりする「耐震診断」などもあります。


▼インスペクションのメリット

 こうしたインスペクションにより、今までは分からなかった建物のコンディション(雨漏り後や家の傾き、基礎・屋根裏といった部分の状態)を把握できることで、その物件購入の可否判断がしやすくなり、さらに購入後のリフォーム箇所(屋根・外壁や配管の状態、白蟻対策や浴室の断熱など)の費用についても事前に把握することが可能となるのです。

 全3回に渡り、ホームインスペクションについて解説してきました。ホームインスペクションは、平成30年4月の改正宅建業法の施行に後押しされ、今後ますますニーズが高まることが予想されます。安心できる物件を売買するためにも、オーナー様ご自身が知識を備え、

そして実際に利用してみてはいかがでしょうか。


 BORDERLESS DESIGN 一級建築士 田主健二



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