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【税金】平成30年度税制改正『賃貸用の土地にも規制』

 前回は相続税の中でも非常に重要な『小規模宅地の特例』について、中でも「家なき子」についてお伝えしました。実は平成30年度の税制改正において、小規模宅地の特例はもう1点改正が行われていますので、今回は『小規模宅地の特例改正(その2)』としてお伝えします。


▼小規模宅地の特例適用対象

 ここで、小規模宅地の特例についておさらいです。対象となるパターンはおおむね次の3つです。

  ①自宅を所有しない相続人が親の住んでいた家を相続する。

  ②相続人が親の営んでいた商売と商売をしていた建物を相続する。

  ③相続人が親の所有していた賃貸物件を相続する。


 これら3つのパターンで土地を相続した場合には、土地の評価が減額され、相続税が軽減されるのです。前回の「家なき子」特例のお話はパターン①についての改正でした。

 平成30年度の小規模宅地の特例改正の2点目は、パターン③に関するものです。これは「貸付事業用宅地の特例」と呼ばれています。


▼貸付事業用宅地の特例

 貸付事業用宅地とはアパートやマンション、駐車場の敷地を指します。これらの土地を親が賃貸していた場合に相続人が申告期限まで所有し、賃貸を続けていた場合には200㎡までその土地の評価を5割引き出来るのです。

 改正前は、親が不動産の貸付をいつ始めたかに関係なく特例が適用出来たのですが、今回の改正で貸付をいつ始めたのかが問題とされるようになりました。すなわち、相続開始前3年以内に貸付が始まった土地については特例適用が認められなくなってしまったのです。


▼貸付事業用宅地の特例改正の理由

 それではなぜこの改正が行われたのでしょうか。それは相続税対策でアパートを建てたり、タワーマンションに代表される賃貸物件購入がブームとなったことと無関係ではないのです。


▼賃貸建物評価のおさらい

 建物の相続税評価は固定資産税評価額が基本になります。固定資産税評価額は木造であれば建築価格の4割程度、鉄骨系で建築価格の6割程度と言われています。仮に木造のアパートを1億円で建てた場合、評価額は4千万円となります。

 また、賃貸物件では借家権が3割控除出来ます。先のアパートが満室であったとすれば、4千万円から更に借家権を控除して何と2千8百万円まで評価が下がるのです。


▼賃貸用建物が建っている土地の扱い

 建物評価が前述のように下がることを利用して、にわか大家さんが大量に出現しました。

 このようなにわか大家さんが相続税対策で取得したアパートやマンション敷地も、当たり前のように200㎡まで5割引きが認められていました。にわか大家さんによる節税行為が問題視されるようになったため、相続開始前3年以内に賃貸開始された物件敷地については特例評価を認めないよう改正が行われたのです。


 これまでより相続税の節税効果が薄れますので、頭の片隅に置いておいていただければと思います。


税理士法人吉田会計 税理士 吉田和義



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