国や自治体でさまざまな空き家対策が行われる中、相続した家を放置することは得策ではありません。
もし売却を検討するなら、早めに行いましょう。なぜなら、期限内に売却すると、相続した空き家から生じた譲渡所得に対し、3千万円の特別控除を適用できるからです。
▼不動産の売却にかかる税金
個人で保有する不動産を売却して、譲渡所得が発生すると、税金が発生します。
▽譲渡所得の金額
譲渡価額❘(取得費+譲渡費用)
「譲渡価額」とは売却代金、「取得費」とは売却する不動産の購入代金や購入手数料、「譲渡費用」とは売却のために支払う各種費用になります。
▽譲渡所得にかかる税金
譲渡所得にかかる税金は、所得税と住民税です。税率は、売却した年の一月一日時点の保有期間で変わります。
・保有期間が5年以下…約40%
・保有期間が5年超 …約20%
▽相続した空き屋の取得費と保有期間
被相続人から引き継ぎます。取得費がわからないときは、売却代金×5%で概算できますが、譲渡所得が生じやすくなります。
▼相続した空き屋の特別控除の要件
▽相続した空き家の特別控除とは
一定の要件を満たす空き家やその敷地の売却であれば、譲渡所得から、3千万円の特別控除額を差し引くことができます。これにより、売却益にかかる税金を大きく抑えることができます。
主な要件は、次のとおりです。
▽空き家(家屋)の要件
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物登記がされている建物でないこと
・相続の開始の直前、被相続人以外に居住をしていた人がいないこと
亡くなる前に要介護・要支援認定を受けて、老人ホームやサービス付高齢者向住宅等に入所・入居していても、特例の対象になる場合があります。
▽売却時の要件
・相続の時から売却の時まで、事業、賃貸、他の人の居住に利用されていないこと
・売却代金が1億円以下であること。
・売却相手との間に、親子や夫婦、内縁関係など特別の関係がないこと
・次の①・②のいずれか早い日までに売却すること
①相続の開始日から3年を経過する年の12月31日
②令和5年12月31日
▼特別控除の注意点
▽敷地に適用制限あり
敷地の売却に適用できるケースは、空き家(家屋)とともに売却する場合か、空き家の全部を取り壊した後に敷地を売却する場合に限られます。
▽家屋の売却には耐震基準がある
空き家(家屋)の売却には、耐震基準に関する要件があります。満たさない場合は、耐震改修をすることで対象になりますが、必要性をよく検討しましょう。
▽他の特例が使えない
他の特例(例:相続税の取得費加算など)と併用できません。有利な方法を選択しましょう。
▽確定申告が必要に
特別控除を適用するには、確定申告が必要です。専用の明細書の作成や、市区町村の確認書、その他要件を満たすことがわかる書類の添
付を行います。
一級FP技能士 石田夏
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