遺言書にまつわる注意点やトラブル ①遺言書の有効性と注意点
- サイワハウジング
- 2 日前
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結論から言うと、財産がある人もない人も、遺言書を作成しておくべきです。なぜなら、遺言書がないと、残された相続人が遺産分割をしなければならないからです。今回、遺言書に関して解説していきます。
▼相続財産と遺産分割方法
遺産分割とは、①全ての相続人と、②全ての相続財産を確定した上で、③どの相続人がどの相続財産を取得するかを決める手続ですが、とても大変です。
相続人は、被相続人(=死んだ人)の生まれてから死ぬまでの連続した全ての戸籍と除籍を集める方法で調査します。これまで戸除籍は本籍地の市町村が個別管理していましたので、全ての戸除籍を取得するには大変な手間と時間と専門知識が必要で、した。
それが令和6年3月1日以降は法務省の「戸籍情報連携システム」で一元管理されましたので、最寄りの市町村の窓口に行き「生まれてから死ぬまでの全ての戸籍をください」と言うだけで済むようになりました。
相続財産は、不動産については市町村が分かれば名寄帳、預貯金については金融機関名が分かれば全店調査で判明しますが、別の市町村や金融機関にある財産を一括照会する方法はないために漏れが出る可能性が高く、遺産分割後に新たな遺産が発見されると遺産分割をやり直す必要があり、とても面倒なことになります。
被相続人が遺言書を作成する際、被相続人が生まれてから死ぬまでの戸除籍と全財産のリストを遺言書と一緒に保管しておけば、相続人の負担を大きく減らすことができます。
▼遺産分割と遺言書の有効性
相続人と相続財産の調査が終わったら、全ての相続人が集まって「遺産分割協議」をすることになります。遺産分割協議は全員一致でなければ成立しませんので、一人でも反対する相続人が出れば「遺産分割調停」(裁判所の調停委員が遺産分割案を仲介する手続。一人でも反対する相続人が出れば調停不成立になる)や「遺産分割審判」(裁判官が妥当だと考える遺産分割案を「審判」という形で全ての相続人に強制する手続)での解決を模索することになります。
遺産分割手続が難航するのは、相続人相互間に不信感があるときです。積年の恨みで目が曇り、経済合理性を無視した主張が繰り広げられる風景は珍しくありません。また、仲が良かったはずの兄弟姉妹が骨肉の争いを繰り広げ、口も利かない関係になる事態もしばしば発生します。
被相続人が遺言書を作成しておけば、相続人に手間と時間をかけさせることもなく、相続人同士が争うこともありません。相続内容に仮に不満があったとしても、その不満は他の相続人ではなく被相続人に向くことになるからです。
『立つ鳥跡を濁さず』子供たちが醜い遺産争いをすることがないように、遺言書を作っておくことが子供たちへの最後の愛情表現ではないでしょうか。
元弁護士Y

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