2018年早々、不動産オーナーに衝撃を与えた「シェアハウス投資」での賃料不払い被害が話題となりました。その発端となったのは、首都圏を中心に女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」を大々的に展開していたスマートデイズ(東京都)が、オーナーに対しサブリース賃料の支払い停止を伝えたことです。なぜこのようなことが起きたのか、また今後気を付けるべきことなどについて解説します。
▼「かぼちゃの馬車」はどのようなシステムだったのか
「かぼちゃの馬車」を運営する㈱スマートデイズは、主に首都圏で女性専用のシェアハウス事業をしていました。物件を提供するオーナーに対し、建築から管理、運営までをすべて請け負う「サブリース」として業務を拡大していきました。サブリースとは、不動産会社が賃貸物件のオーナーから全ての部屋を一括で借上げ、その不動産会社が第三者へと転貸するというシステムです。
家賃保証などとも呼ばれ、不動産会社にまとめて貸して一定の賃料収入を得られるため、実際の入居募集について対策をする必要がありません。実際の入居者状況にかかわらず毎月賃料が入るため、賃貸オーナーにとっては空室リスクを回避できるメリットがあります。
▼どのような経緯で問題となったのか
「かぼちゃの馬車」が運営を始めて1年後の2013年7月での売上高は、約4億4千5百万、その後2017年3月には約316億9千万円にも上り急激な伸び率を見せました。しかし、2017年10月にオーナーに対して賃料の減額を伝え、年明け2018年の1月には賃料の支払いは困難となってしまったのです。その要因としては、入居者が50%にも満たないということとされていますが、本来サブリースは入居者状況に左右されないことがメリットです。このことから「当初の説明と違う」と問題になっていったのです。
さらに、今回は、オーナーに融資を行った金融機関に対しても非難が拡大しました。通常よりも高い金利での融資内容であったためです。不動産投資物件でのリスクについても、十分に計画しなければならないと再認識した出来事でもありました。
▼今後気を付けるべきこととは
サブリースというシステムは、アパート建築会社や不動産会社で広く採用しています。契約の内容には、将来的に見直しを図るという内容が記されている場合が多く、定額の家賃保証が永久的に継続することではないことを理解し、建築を急がせたり、賃貸ニーズの低そうな場所での建築計画には注意した方が良いでしょう。
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