空室対策と言えば、入居者募集ばかりに気が行きがちですが、これからの時代は少し様子が変わりそうですのでその点からまずお伝えします。
人口が増加し、家探しをする人がひっきりなしに訪れる状況であれば、とにかく訪ねてくるお客様に対していかに所有物件のアパート・マンションで決めてもらうかを考えればよかったですし、そんな時代がありました。しかし、近年は人口が減少し、世帯数も頭打ちの状況です。中でも20代の若い世代の人口減少は著しく、2018年の新成人は123万人と、20年前の1998年の174万人と比べて、▲51万人も減少(▲29%)しているのです。これでは、入居者を増やすどころか、入居率を維持することすら難しい状況が見て取れます。
そこで大事になってくるのが、既存入居者の退去を抑え、長期入居に繋げる取り組みです。このことを不動産用語で、『テナントリテンション』と言います。一般的に、退去理由は転勤や進学が多いと思われていますが、実際はそれだけではありません。
『引越し理由ランキング』(SUUMOジャーナル)を見ると、引越し理由の筆頭が「住んでいた物件に不満があったから」であり、次いで「前より条件の物件を見つけたから」となっています。その不満の内訳をみると、
・家賃が周辺と比べて高い
・共用部のゴミ、汚れ
・入居者のマナーの悪さ
・壁が薄く隣りの声が聞こえる
・ゴミ置き場の散乱
・室内設備の古さ、不足
などです。
このような不満がある中で、他に良い物件が安価で引っ越せるとなると、住替えを検討するという流れも自然に思います。また、同じ居住空間にずっといると、マンネリ化し、飽
きてしまうこともあるのかも知れません。
そこで、まずこの不満点を解消することに取り組むことが大切と言えます。前述の不満点を解消していくことが最初に取り組むべき内容になります。室内は居住者責任ですが、共用部はオーナー様や管理会社の責任と考える人も多いのは事実です。
ここは、オーナー様と管理会社がタッグを組んで不満になりそうな状況を確認し、見つけ次第修繕や入居者への対応を進めていくことが望ましいと言えます。そのための巡回点検を定期的に行っても良いでしょう。まずは第一歩を踏み出したいところです。
留言