「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が、2023年12月13日に施行されました。今回は、現在の日本を取り巻く空き家問題と、この法律で新たに登場した「管理不全空き家」の概要について解説します。
▼使用されていない空き家数
空き家には、次の3種類があります。
「二次的住宅」・・・普段は居住者がいないものの、別荘やセカンドハウスとして使用されている住宅
「賃貸用または売却用住宅」・・・賃貸や売却のために空き家になっている住宅
「その他空き家」・・・長期に渡って入居者がおらず、利用もされていない、または建て替え、取り壊しが決まっている空き家
いわゆる空き家問題として取り上げられるのは「その他空き家」で、総務省の調査によれば、その数は1998年時点では182万戸だったのが2018年には349万戸と、20年間で1.9倍に増加しており、2030年には470万戸に達する見込みです。
▼空き家が増える原因
空き家の多くは、居住者の高齢化により、老人ホームや子どもの家などに転居することで生まれています。そのような空き家が活用されない理由としては、認知症を患ってしまって利活用の判断ができないことや、最終的には家に戻りたいと思っているといったことが挙げられます。
その後、相続をして子どもたちが実家を受け継いだ際にも、子どもたちが遠方に住んでいたり、子どもたちの中で意見が合わなかったりして、利活用の話が進まず、結果として空き家になってしまうパターンも多くあります。
▼空き家対策のための法整備
空き家は、利活用されないことだけでなく、放置されることによって周囲に悪影響を及ぼすことにも問題があります。
今回の空き家法の改正では、「特定空き家」の前段階となる「管理不全空き家」という区分が新たに設けられました。管理不全空き家になると、市区町村長からの指導・勧告がされ、勧告に従わなければ、固定資産税が6分の1などに減額される住宅用地特例が解除されます。
また、相続登記をしないことによる所有者不明も、空き家増加の要因です。その課題解決のため、2024年の4月1日以降は、相続開始から3年以内に相続登記を行うことが義務化されます。相続登記を怠った場合には10万円以下の過料があり、過去の相続についても対象となる点には注意が必要です。
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