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大家に浸水被害の責任はあるか? 説明義務違反による責任の有無

3 日前
読了時間: 3分

 今年は夏後半から長雨が続き、台風と相まって、千葉を中心に大きな被害が発生しました。今回は、賃貸物件にまつわる責任について確認していきます。


▼責任の論点~裁判所判決

 豪雨等によって賃貸物件が浸水し、賃借人の財産に損害が発生したとき、賃貸人は、賃借人に対し、損害賠償責任を負うのでしょうか。

 たしかに、豪雨等による浸水被害は天災です。天災は不可抗力ですので、賃貸物件が浸水被害にあったとしても賃貸人は免責されるようにも思えます。

 しかし、最高裁平成23年4月22日判決は、「契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがある」との判断を示しています。

 そうすると問題は、「豪雨等による浸水被害の可能性が賃貸借契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報」に該当するか否かということになります。

 この点、札幌高裁令和元年6月26日判決は、マンションの駐車場の浸水被害に関し、「駐車区画の設置された宅地又は建物の賃貸人や宅地建物取引業者において、土地の浸水リスクや過去の浸水被害について説明義務を負うとする法令上の明文規定や業界の慣習等は見当たらない」として賃貸人の説明義務違反を否定しました。


▼潮目が変わった豪雨災害

 そのような最中、平成30年7月に西日本で死者行方不明者200人以上、令和元年の台風19号では東日本で死者90人以上の甚大な被害を出しました。

 それを受けて、国交省は、「近年の大規模水災害の頻発を受けて、(中略)水害リスクに係る説明を契約締結前までに行うことが必要となってきた」として2020年(令和2年)8月、宅地建物取引業法施行規則を改正し、水害リスク情報を重要説明情報に追加しました。

 国交省は、取引対象となる宅地又は建物が水防法に基づく水害ハザードマップの浸水想定区域に含まれていない場合であったとしても、「雨の降り方や土地利用の変化等により地図に示した浸水区域以外のところでも浸水することがありますので、ご注意ください」と口頭で説明することが望ましいとの見解を公表しています。


▼貸主の対応・リスクヘッジ

 このように、近年の大規模水災害の頻発を背景に、不動産取引において水害リスクに関する情報提供がより重視されるようになりました。

 それを踏まえると、宅建業者でない賃貸経営者についても、過去の浸水履歴など重要な情報を把握している場合には、契約前に説明しておくことがトラブル防止の観点から重要です。

 また、賃貸物件が過去に浸水被害にあったときは、いつどのような被害が実際に発生したのかを契約書に明記しておくべきです。そのようにしなければ、水害リスクに係る説明として十分ではなかったと裁判所に判断されて説明義務違反による損害賠償を命じられる可能性があります。

     弁護士Y


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