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賃貸住宅と火災②隣家の失火の場合

4 時間前
読了時間: 3分

 前回につづいて賃貸住宅における失火について確認していきます。


▼失火責任法の影響

 隣家からの延焼で賃貸物件が被害を受けた場合、賃貸物件のオーナーとしてはオーナーとしては出火元に損害賠償を求めたいところです。

 しかし、前回ご説明したとおり不法行為責任には失火責任法が適用されて故意・重過失があるときに限られるため、多くのケースで法的責任を追及することができず、賃貸物件のオーナー自身の火災保険を使って補償を受けることになります。ちなみに、賃貸物件の居住者も居住者自身の保険を使って焼損した家財の補償を受けることになります。


▼家賃収入への影響

 賃貸物件のオーナーにとって最大の関心事である賃料は、賃貸物件の焼損でどのような影響を受けるのでしょうか。

 民法六一一条は、賃貸物件の一部が使用収益できなくなったときは、使用収益できなくなった割合に応じて賃料は減額され、残存する部分だけでは賃借目的を達成できないときは賃借人は賃貸借契約を解除できると規定しています。また、民法六一六条の二は、賃貸物件の全部が使用収益できなくなったときは賃貸借契約は終了すると規定しています。

 隣家からの延焼で賃貸物件の主要部分が焼失すると、法律上当然あるいは賃借人の請求によって賃貸借契約が終了するため、賃貸人は賃料を請求するための法的根拠(賃貸借契約の存在)を失い、賃借人に対して賃料を請求することができなくなります。また、隣家からの延焼で賃貸物件の使用収益機能の一部が損なわれたときは、損なわれた部分の割合に応じ、法律上当然に賃料が減額されるため、賃貸人は減額部分の請求ができなくなります(賃料の満額を請求するためには、修繕をして、火災前の状態まで使用収益機能を回復しなければなりません)。


▼賃貸人の損害と補償

 つまり、賃貸人の損害としては、焼損によって毀損した賃貸物件の価値(修繕が不可能であれば火災発生前の時価相当額、修繕が可能な一部焼損にとどまれば修繕費相当額)のほかに「得られるはずだった家賃」相当額が含まれるものの、どちらも出火元の隣家の不法行為責任に属するため、失火責任法が適用され、実務上は、賃貸人自身が加入する火災保険による補償が重要になります。

 しかし、自分の火災保険から家賃相当額の補償を受けるためには、火災保険のオプションとして「家賃補償特約」を事前に契約しておく必要があります。家賃収入をローンの返済原資にしている場合などは家賃収入が減少すると非常に困った事態になるため、火災保険を契約する際は、家賃補償を含めた補償内容についてよく吟味して備えておくべきです。

  弁護士Y

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