平成30年度税制改正により2年後の2020年分の個人所得の確定申告から、青色申告特別控除額が現行の65万円から55万円に引き下がることが決定しています。
賃貸収入で65万円の青色申告特別控除を受けることができるのは、その貸付規模が事業的規模(※)に該当する方のみです。事業的規模でない青色申告者の控除額は10万円で、この金額の引き下げはありません。
▼基礎控除も上がるから関係ない?
この改正によって増税となる人は限られます。なぜなら、合計所得金額2400万円以下の方の場合、同時に基礎控除の引き上げが行われるからです。しかし基礎控除の引き上げと併せて、青色申告特別控除額も従来の65万円で引き続き受けられる方法があります。その一つが「電子申告」です。
▽電子申告なら65万円控除に
電子申告とは、国税庁の「e‐Tax」というシステムから確定申告書をデータ送信する方法です。
しかしながら、これまでの電子申告では、まずマイナンバーカードを取得し、市販のICカードリーダーを購入してカード情報を読み取るという準備が必要でした。
▼「ID・パスワード方式」の新設
そこで平成30年分の確定申告から新設されたのが「ID・パスワード方式」です。
この方式では、まず税務署に身分証明書を持参し、職員による本人確認を受けて「ID・パスワー
ド方式の届出完了通知」を受け取ります。
あとは「e‐Tax」にアクセスし、税務署で受け取った書類に書かれた16桁の利用者識別番号とパスワードを入力すれば準備完了です。カードリーダーを購入することなく短時間で準備を終えられることにメリットがあります。ただし、この方法はおよそ3年間の暫定措置とされ、その後の対応は未定とされています。
▼マイナンバーカード方式も簡略化
「ID・パスワード方式」の新設と同時に、従来のマイナンバーカードを利用する方法も、「マイナンバーカード方式」という名称でやや簡略化されています。ただし、マイナンバーカードとICカードリーダーの取得が必要であることは変わりません。
なお、一部のスマートフォンをICカードリーダーとして利用するための「e‐Taxアプリ」も開発されています。もし対象の機種をお持ちの方は、設定作業など事前準備を行うことにより、スマートフォンをICカードリーダーとして利用することも可能です。
対象の機種や事前準備の方法は、国税庁のHPで確認できます。
(※)事業的規模・・・5棟又は10室以上の貸付が目安です。なお青色申告特別控除を受けるには、税務署に青色申告承認申請を行っていること、貸借対照表を含めた青色決算書を、期限内に税務署に提出することが必要になります。
ファイナンシャルプランナー 石田夏
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