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未更新のリスクと意図的な未更新者への対処法

  • 4月27日
  • 読了時間: 3分

 今回は賃借人が契約更新に応じない場合について解説していきます。


▼事項更新と法定更新

 アパートやマンションの賃貸借契約では、契約期間を2年ないし3年とした上で自動更新条項の定めを設けるのが一般的です。

 賃料の値上げ交渉は、契約更新のタイミングでするのが心情的に最も受け入れてもらいやすく、契約書に更新料の定めがあれば、契約更新のたびに更新料を徴収することができます。

 また、自動更新条項の定めがなければ、期間満了前に新たな契約書を作成しなければならず、それを怠ると法定更新となり、契約期間が「期間の定めのないもの」の変更されるリスクがあります。

 賃貸人からの解約申入れや更新拒絶は「正当事由」がなければできませんので、期間の定めの有無に関係なく賃貸物件の明渡しは法的に困難であることは変わりませんが、法定更新となり期間の定めがなくなると、賃料の値上げ交渉のタイミングを失ったり更新料が徴収できなくなったりするといったデメリットがあります。


▼更新契約未締結の問題

▽更新契約書未締結の対応

 契約書に自動更新条項を明記していたとしても、権利関係の明確化の観点からは、契約期間が満了する前に新たな賃貸借契約書を作成したほうがよいのですが、賃借人が新契約書を返送しない場合はどうなるのでしょうか。

 そのような場合であっても、元の賃貸借契約書に自動更新条項が明記されていれば、元の賃貸借契約書に基づき、元の賃貸借契約と全く同じ条件の賃貸借契約が成立することになります。元の賃貸借契約の期間が2年間であれば、新たに2年間の賃貸借期間がスタートすることになります。


▽更新料の未払いの対応

 問題は更新料です。最高裁判所平成23年7月15日判決で、次のように判断しました。


更新料とは「賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質のもの」であり、「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り」合法であり、具体的には「法定更新であるか合意更新であるかにかかわりなく、1年経過するごとに、更新料として賃料の2か月分を支払わなければならない」という賃貸借契約は一義的かつ具体的に記載されており高額に過ぎるとまではいえないから有効である」


 対策としては、賃借人が契約更新のための賃貸借契約書を返送しない場合に備えて賃貸借契約書に自動更新条項を入れておくことは当然として実施し、何らかの事情で法定更新になってしまった時であっても更新料を徴収できるように一義的かつ具体的な更新料の定めをしておくべきです。これにより債権が明確になり退去時に請求しやすくなります。


 なお、賃借人が更新料を支払わないときは債務不履行となり、家賃や次の更新料の不払分と合算して不払額が家賃の3か月分以上になれば、賃貸借契約の解除が認められやすくなります(賃貸借契約は継続的な契約のため、家賃1~2か月分の不払では、裁判所は契約解除を認めません)。

         弁護士Y


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