2018年6月15日に施行された民泊新法ですが、蓋を開けてみれば、実際の届け出数の少なさに、今後を不安視する見方も出ています。
要件を満たし、届け出をすれば、個人でも民泊をはじめることができることがメリットとされた民泊新法でしたが、自治体の独自規制なども考慮しなければならず、やや消極的な出足となっている傾向です。
▼届出数は3,728件(施行前の6%)どまり
6月下旬頃までの民泊届出件数は、3,728件で、そのうち受領済みが2,210件でした。民泊新法施行前には、全国で6万件もの民泊施設があったことを考えると、施行後の届出数とのギャップは、かなり大きなものです。
そもそも東京を中心とする首都圏や大阪、京都など外国人観光客が多い地域では、民泊がな
ければ、通常のホテルなどの宿泊施設では増加する宿泊者に対応できないという実情がありました。
しかし、民泊新法の施行は、今まで民泊を運営してきた多くの個人オーナーが、新法に対応できない、または、今後の運営に難色を示していると考えられます。
▼エアビーアンドビー登録の民泊施設8割が削除
民泊新法の施行による影響を受けたのは、民泊施設を登録するエアビーアンドビーです。6月15日の施行直前に、届け出のない約4万件の民泊施設を一斉に削除しました。削除した数は、全体の8割にも及び、予約も取り消しとなりました。違法民泊の恐れがあると判断された施設がここまで多かったということかもしれませんが、これほどまで、民泊届け出が低水準になることを予想していたでしょうか。
▼自治体の独自規制も低迷に拍車か?
民泊の運営に関して、自治体が定める、厳しい独自規制が、民泊届け出の高いハードルになっている可能性があります。
たとえば、独自規制が非常に厳しい京都市は、「住居専用地域の営業は1~2月の約60日に限定」「苦情対応などで管理者が10分以内に駆け付けられるよう800m以内に駐在する」などとしています。
民泊運営側は、こうした厳しい独自規制の緩和を求める意見書を提出したり、観光庁は過度な規制を改めるよう自治体に要請したりする見込みです。今後も両者の調整が進められていくと考えられます。
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