賃貸物件で近隣トラブルが発生した場合の家主の責任と対処法①ペット編
- ジンヤ
- 33 分前
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今回は、賃貸物件で起こり得るトラブルに対して家主の責任と対処法についてお伝えします。
▼ペット飼育禁止特約ありの場合
賃貸物件でペットの飼育を認めると、鳴き声、排泄物、臭い、毛等により賃貸物件を汚染・損傷するほか、他の賃借人や近隣住民から賃貸人に苦情が寄せられるなどして賃貸人に容易に回復し難い損害が発生するリスクがあります。
そのため、多くの賃貸契約では「ペット飼育禁止特約」が設けられています。ペット飼育禁止特約があれば、賃貸人は、賃借人に対し、鳴き声、排泄物、臭い、毛等により賃貸物件を汚染・損傷したり賃貸人に苦情が寄せられたりするリスクがあるペットの飼育をしないように要求することができます。
また、賃借人が賃貸人の要求に従わず、ペットの鳴き声、排泄物、臭い、毛、苦情等が通常許容される範囲を逸脱し賃貸人と賃借人との間の信頼関係を破壊する程度に至ったときは、賃貸借契約を解除して賃貸物件からの立退きを求めることができます。
ここでのポイントは、ペット飼育禁止特約があったとしても、汚染・損傷・苦情が発生するリスクがないペットの飼育は禁止できないという点です。また、犬猫は、例え小型種であっても汚染・損傷・苦情のリスクがあるため、ペット飼育禁止特約があれば、実際に汚染・損傷・苦情が発生していなかったとしても犬猫の飼育をしないように要求することはできますが、賃貸借契約を解除して立退きを求めるためには、信頼関係が破壊される程度の汚染・損傷・苦情が発生していなければなりません。なお、信頼関係の破壊に至らない程度の汚染・損傷・苦情が発生しているときは、賃貸借契約の解除はできませんが損害賠償請求をすることはできます。
▼ペット飼育禁止特約がない場合
ペット飼育禁止特約がない場合は、汚染・損傷・苦情が現実に発生しているか、あるいは発生しそうな場合に限って、汚染・損傷・苦情が発生しないような飼育方法でペットを飼育するように要求できるにとどまります。
また、ペット飼育禁止特約がある物件のほうが許容される鳴き声、排泄物、臭い・毛等の程度がシビアになります。ペット飼育禁止特約がない物件では信頼関係が破壊される程度に至らない汚染・損傷・苦情であったとしても、ペット飼育禁止特約がある物件では信頼関係が破壊される程度に至ったと評価されるケースもありまます。
そして、ペット飼育が許可されている物件では、許容される鳴き声、排泄物、臭い、毛等の程度が更に寛容になります。
以上を法的に整理すると、賃借人が賃料を支払うのは賃貸物件を通常の用法に従って使用収益する権利を得るためであるが、ペット飼育禁止特約を設けることで「通常の用法」からペット飼育を除外することができ、通常よりも軽度の汚染・損傷・苦情の発生で賃貸借契約の解除が認められやすくなる(ペット可物件はこの逆方向)ということになります。
元弁護士Y





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