賃貸経営をする上で忘れてはならないものに「法定点検」があります。複数の世帯が共同で暮らす建物であるため、大家さんには入居者の安全の確保が求められます。
そのため、建物の耐久性や設備が適切であるか定期定期に点検・報告を行うことが法律で義務付けられているのです。
法定点検には「消防・水道・浄化槽・建物設備・電気」などの点検・検査が必要です。今回は「消防・水道・浄化槽」の法定点検についてご紹介していきます。
▼消防法に関する点検
消防法に基づき設置された消火器、自動火災報知器、消火設備などの消防用設備
について、次の2つの定期点検が義務付けられています。
機器点検:外観又は簡易な操作による確認をする点検(6ヶ月以内毎)
総合点検:実際に消防設備を作動させ、総合的な機能を確認する点検(1年以内毎)
また、特定防火対象物(用途例:物品販売店舗、ホテル、病院、飲食店など不特定多数の人が出入りする建物)は1年に1回消防署への報告が、非特定防火対象物(工場、事務所、共同住宅、学校、駐車場等)は3年に1回の報告が義務付けられています。
万が一、火災発生時でも安全が確保されるように、常に備えておくことが大切です。
▼水道法に関する点検
水道法による法定点検は、「簡易専用水道管理状況検査」といい、「貯水槽・受水槽」の検査や点検を指します。
集合住宅の各戸に運ばれる水道の水は、受水槽を通り、人の口に運ばれます。健康を害する恐れがないか、安心・安全な水を届け続けるために、臭いや濁りがないか、異常な色がないか水質確認を行い、水槽の清掃もします。
一般的には、点検を行う際には水道設備を止めることになるため、事前に入居者に周知しておきます。
水槽点検は、毎年1回以上行うことが義務とされ、違反すると罰則もありますので気を付けましょう。
▼浄化槽法に関する点検
浄化槽法は浄化槽を使用している場合に該当するものです。浄化槽は下水道の引き込み
がない地域などで利用されるもので、汚水を流すために、浄化槽内で水を分解しきれいな状態で川などに流す仕組みです。
浄化槽にも定期的な点検が法律で義務化されています。点検は「設置後の初期検査」と「定期水質検査」の2種類あります。初期検査は浄化槽の新設から3~5ヶ月程度後に行いますが、定期水質検査は毎年行うものです。
定期的な水質検査をうっかりと忘れてしまうケースも散見されるため、新設時に点検業者と定期的な点検の依頼を済ましておくと安心です。
「消防・水道・浄化槽」といずれも大家さんが行わなければならない点検です。特に消防法は入居者の安全の確保に大きく関係するものですから、確実に点検を行うことが大切です。
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