国土交通省は、入居者の死亡事故・事件などが起こった住宅、いわゆる「事故物件」について、告知義務が発生する事項についてのガイドライン案を発表しました。
これまでは「事故物件」に関する告知義務を明記したものがなく、不動産会社ごとの判断で告知期間や内容を決めていたため、対応に差がありました。これらを是正することを目的にガイドライン案が示されました。
▼告知義務ガイドライン案
ガイドラインによると、入居者の心理的瑕疵(かし)の大きさを基に告知の規定を定めていま
す。
具体的には、事件性の高い殺人や自殺、火災などによる死亡は3年間の告知義務が発生する一方、病死や老衰などによる死亡は告知義務が発生しないとなっています。
▽具体例①
例えば、孤独死により遺体が発見された場合はどうだろうか。
ガイドラインに基づくと、事件性がなくすぐに遺体が見つかった場合は告知義務はありません。
しかし、発見が遅れ、遺体から腐敗臭やウジ虫が発生し、特殊清掃が行われた場合は、告知義務ありとなります。
孤独死でも発見時の状況によって、告知義務が発生するか否かが分かれます。腐敗は季節によって進行に差が出るため、具体的な日数での判断ではなく特殊清掃という基準になっています。
▽具体例②
食べ物がのどに詰まり、窒息死した場合はどうだろうか?
この場合は自然死に近く、心理的瑕疵は低いため、告知義務はなしとなります。
▽具体例③
物件内で事件が発生したものの、部屋では死亡しておらず、その後運ばれた病院で死亡した場合はどうだろうか?
この場合は、現時点でははっきりしていません。心理的瑕疵は大きいと感じる人は多くいると考えられますが、今回のガイドラインには明記されておらず、今後の検討課題となっています。
▼対応策
賃貸オーナーが気をつけたいのは、高齢入居者の増加に伴う孤独死の増加です。自然死で発見が早ければ事故物件の告知は不要であるため、管理会社とも相談しながら、定期的に入居者の安否を確認する手段などを検討しておくとよいでしょう。
国交省は、今回の案に対するパブリックコメントを公募し、今夏をめどに正式なガイドラインを発
表するとされています。
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