top of page

サブリース方式のリスク①

 2023年9月に東京地裁でマスターリースをセットにした収益不動産の販売手法に一石を投じる判決が言い渡されました。今回は、サブリース方式の契約に関して解説していきます。


▼賃貸管理

 賃貸経営をするにあたり、手間と時間がかかるのが賃貸住宅管理業務です。

 賃貸住宅管理業務には、①金銭(家賃・敷金・共益費など)の管理を行う業務、②賃貸住宅の維持保全を行う業務の2種類のものがあります。

 ここで「維持」とは、「日常的に反復継続して行われる手入れ」のことであり、具体的には定期清掃・点検・不具合対応のことです。また、「保全」とは「修繕」のことであり、原状回復のためのハウスクリーニングを含みます。


▼サブリース方式の契約

 賃貸人は、賃貸住宅管理業者と管理受託契約を締結して賃貸住宅管理業務を包括的に委託することができますが、オーナーの手間と時間を更に節約するものとして「サブリース方式」というものがあります。「サブリース(特定転貸事業)」とは、賃貸物件の所有者(オーナー)はサブリース会社とマスターリース契約(特定賃貸借契約)を締結するだけであり、入居者と賃貸借契約を締結するのはサブリース会社であるというものです。

  サブリース会社は、オーナーから借りた物件を入居者に転貸することになるため、サブリース業者と入居者との間の賃貸借契約は「サブリース契約」と呼ばれています。

 サブリース方式で多いのが、①一括借り上げを前提にしてマンションやアパートを新築するケース、②既に一括借り上げされている中古のマンションやアパートを購入するケースです。 


▼サブリース契約のメリット

 オーナーとサブリース業者がマスターリース契約を締結するにあたり、サブリーズ業者が「家賃保証」をする場合がほとんどです。「契約期間内の家賃は確実に保証します。一切収入は下がりません」や「安心の30年間一括借り上げ。いつでも自由に契約解除することもできます」といった勧誘をされ、マスターリース契約書にもその旨が明記されていることから、オーナーとしては「サブリース業者が保証する家賃で住宅ローンの支払ができる」と安心して、マンションやアパートの新築や購入に踏み切ることが多くあります。

 入居者と直接賃貸借契約を締結すると、空室で賃料が減ってしまうところ、マスターリース契約をすることで「空室の有無に関係なく毎月一定額をサブリース業者から支払ってもらえる」ところが大きなメリットです。


▼サブリース契約のリスク

 ここで注意しなければならないことは、サブリース業者は、オーナーとの関係では「賃借人」になるということです。すなわち、サブリース業者は、借地借家法の厚い保護を受ける対象になります。

 借地借家法は強行法規です。強行法規とは、法律に違反する契約条項は自動的に無効になるという意味です。したがって、サブリース業者から特別の約束をされ、契約書にその旨が誤解の余地がないほど明確に記載されていたとしても、その約束が借地借家法に違反する内容であれば自動的に無効になってしまいます(続く)。

閲覧数:1回

最新記事

すべて表示
bottom of page