原状回復トラブルと対処法①賃貸住宅における原状回復とガイドライン
- 1 日前
- 読了時間: 3分
賃貸住宅の退去時において、原状回復の費用負担をめぐってトラブルが発生することは珍しくありません。
賃貸人と賃借人のどちらがどれだけの費用負担をするかについて、これまで多くの民事訴訟で争われ、多くの判決が存在します。今回は原状回復について解説します。
▼国交省ガイドライン
国土交通省住宅局は、原状回復をめぐるトラブルの未然防止と円滑な解決を目的として、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公開しています(https://x.gd/SeneE)。また、国土交通省住宅局参事官名義で「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインに関する参考資料」を公開しています(https://x.gd/bfK0B)。
賃貸経営をするのであれば、これら2種類の文書(ガイドラインと参考資料)を隅から隅まで熟読すべきです。このガイドラインと参考資料は、既存の判決を精査した上で具体的な基準を示したものであり、これらを熟読することで、原状回復に関する裁判実務を理解することができるようになります。
さて、賃貸経営者が最も気になるのは、賃借人に請求可能な原状回復費用は何かということでしょう。ポイントは3つです。
①賃料に含まれる部分
第一のポイントは、賃料に含まれていると裁判所が考える費用は請求できないということです(原状回復費用として請求すると賃料との二重請求になるため)。
具体的には、「通常の使用による損耗・毀損」は賃料に含まれているため請求できませんが、「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」は賃料に含まれていないため請求できます。
②最小施工単位での請求
第二のポイントは、「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」であったとしても、部分補修工事が技術的に可能であれば、賃借人に請求できるのはその部分(最小施工単位)に限られるという点です。
③経年劣化の価値減少分を考慮

第三のポイントは、「通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」箇所について、部分補修工事が技術的にできなければ全体補修工事が認められるものの、賃借人に請求する際は「経年劣化による価値減少分」を減額しなければならないという点です。
なぜなら、裁判所は、経年劣化による価値減少分は賃料に含まれていると考えるため、経年劣化部分を減額しなければ賃料との二重請求になるからです。ただし、「消耗品」は経年劣化が観念できないため、「消耗品」と言えるものについては賃借人に全額請求することができます。
ガイドラインと参考資料を熟読する際は、これら3つのポイントのどの部分の話なのかを常に意識してみてください。そうすることで、ガイドラインと参考資料が何を言っているのかについての理解がしやすくなります。
弁護士Y




コメント