覚せい剤や大麻といった不正薬物の受け取りに賃貸物件の空室が悪用されるケースが増えています。
▼海外便からの密輸が増加
コロナ禍に入国制限が行われた影響で、人によって海外から薬物が持ち込まれる案件は減りま
した。その反動を受けてか航空貨物や国際郵便による密輸が激増しています。
財務省が2月に発表した「令和4年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況」によると、商業貨物を利用した密輸は前年比181%の223件、国際郵便物を利用した密輸は前年比105%の724件でした。
国際郵便物を利用した密輸はここ2年で特に増加しており、令和2年→4年で157件も増加しています。
▼賃貸の空室が受取り場所に
具体的な手口としては、空室の郵便受けが悪用されることが多いようです。
ポスティングを防ぐために郵便受けに貼ってあるガムテープをはがし、そこに偽名の表札を設置して、郵便局や運送事業が投函する不在票を取り出し、転送先の指定をしたり、郵便局や集配所に受け取りに行ったりというケースがあります。
また「置き配」を指定して玄関前や宅配ボックスに置かれたあとに回収するケース、空室に不法侵入して入居者を装って受け取るといったケースも見られます。
同じ場所が繰り返し密輸薬物の受け取り場所として悪用されるケースも多く、こまめな巡回や不審な点がないかのチェックが必要です。巡回の頻度が少ない物件は特に狙われやすい傾向にあるようです。
▼こまめな巡回と対策を
オーナーや管理会社側ができる対策としては、第一にこまめな巡回が挙げられます。巡回した際に郵便受けに異常はないか、空室なのに誰かが入った形跡がないかといったことを確認することをおすすめします。郵便受けに合いカギを入れることをやめ、キーボックスの番号はひんぱんに変更するようにしましょう。
また、内見者に対して、不動産業者が立ち会わない状況ではキーボックスの番号を知らせないといった対策も有効です。
最近では、スマートキーを導入する物件も出てきています。デジタルキーで入退室管理のログも取れるため、見知らぬ第3者は侵入しにくい環境が作れます。
社会問題への対応として、対策を検討してみてはいかがでしょうか。
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