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【法律】民法改正法案が成立!知っておきたい賃貸業界に関する重要ポイント①

更新日:2018年11月1日

 遅れていた民法債権編(債権法)の120年ぶりの抜本改正法案が、第193回通常国会で審議され、4月14日衆議院を、5月26日参議院を通過し、成立となりました。

今回の改正は、時代の変化に対応するのが狙いで、賃貸業界に関する事項は、これまでの判例

を基に概ね実態に伴った内容に改正されることになります。そこで、主に関係する事項の改正点について、整理しておきます。


▼敷金の定義・ルールを明文化

 これまで法律において明確な定義が無かった『敷金』において、明確な定義が設けられます。

「いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」

 すなわち、家賃や修繕費等の担保ということが明確にされます。


 また、敷金返還の義務、時期において、

「賃料の未払い分や、故意・過失による損傷の修繕費用などを控除した金額を、賃貸借契約が終了して明渡された時に返還しなければならない」

ことが明記されます。すなわち、通常利用においては、敷金は全額返金されるケースが当たり前になることが想定されます。

 実務上大きく変わることはありませんが、「敷引き」の慣習のある地域では、見直しが必要になりそうです。


▼原状回復義務の範囲の明文化

 賃貸借契約終了時の原状回復義務について、

「通常損耗あるいは経年劣化は民法本来の原状回復義務の範囲には含まれない」

ことが明記され、これまでの判例法理が明文化されます。

 これは、これは国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(1998年)や、東京都による「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(2004年)の内容に沿ったものであり、それに沿った対応を取っている場合は、実務上の取扱いが大きく変わることはないでしょう。


▼賃借人による「修繕権」

 賃借している物件の修繕について、今までの民法では賃貸人に修繕義務があることが明示されているだけでした。改正後は、賃借人が次の場合には、修繕をする権利があることも明文化されます。

  1.  賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。

  2. 急迫の事情があるとき。

これは借主に有利な変更ですので、貸主としては留意しておきたい事項です。

 今国会の通過により、2020年春までの施行が確実になりました。次回パート②では連帯保証人等についてお伝えします。



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