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物価高の影響、家賃にも広がる

 総務省が2024年4月19日に「2020年基準消費者物価指数」を発表しました。これは2020年を100として2023年度の物価を数値で表すものです。

 総合指数は107.2で全体的な物価上昇が見られ、その中で家賃を表す指数(民営家賃)は100.1で25年ぶりの前年比プラスを記録しました。また、2024年1月、2月は、連続で前年比プラス0.2%となり、わずかながらも家賃が上昇傾向にあることを示しています。東京都区部に限定すると、3月は前年比プラス0.4%となっています。


▼家賃上昇の背景

 家賃の上昇傾向の背景には、都市部を中心とした賃上げ、ウッドショックに起因する資材の高騰による住宅の維持費用の増加があります。また、マンション価格の高騰によって、賃貸へ流れる人が増えたことも賃貸価格の上昇を後押ししています。

 日本では借地借家法によって、賃貸住宅の借主は保護されているので、契約更新時の値上げには借主の同意が必要です。デフレ下では入居者が入れ替わる新規契約時以外では家賃の値上げは難しかったものが、現在の物価上昇を受け、新規契約時だけでなく、契約更新時に家主が借主に値上げを打診するケースが増えています。


▼賃貸住宅管理会社の動向

 日経新聞の調査によれば、レオパレス21では全国平均で賃料が1000円ほど上昇しており、アンビションDXホールディングスは、既存入居者に対して契約更新時に賃料の5~7%の値上げの打診を始めているようです。

 また、高級賃貸のラ・トゥールを運営する住友不動産も、物件価格の上昇に合わせて更新時に賃料を引き上げているとしています。


▼家賃の値上げはリスクを考慮して

 家賃上昇の機運が生まれてきたとはいえ、家賃の値上げにはリスクがあります。家賃の値上げを理由に現在の入居者が退去し、その後1か月の空室が続いた場合を考えてみましょう。月7万の家賃を5%上げて7万3500円にしたとしたら1か月分の7万円の赤字を回収するには次の入居者が最低20ヶ月住み続ける必要があります。


 人口減少によって空室リスクが高くなっている中では、空室リスクが非常に低い場合を除いて家賃の引き上げが簡単ではない状況は、まだ大きく変わっていないと言えるかもしれません。

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