賃貸住宅と火災①賃借人の失火の場合
- 2 日前
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賃貸経営をしていると、そう遠くない物件で火災の話を耳にすることがあるかと思います。今回は火災についてお伝えしていきます。
▼火元と失火責任
賃貸住宅で火災が発生した場合、火元が賃借人のケースとそれ以外のケースとを区別して検討しなければなりません。
なぜなら、火元が賃借人であれば賃貸借契約が存在することから契約責任を追及することができるのに対し、火元が賃借人でなければ契約関係が存在しないことから契約責任を追及することができず、不法行為責任を追及することしかできないからです。
契約責任であれば失火責任法は適用されません。しかし、不法行為責任では失火責任法が適用されて通常の過失は免責され、故意又は重過失がなければ責任を追及することができなくなります。
「重過失」とは「わずかな注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」のことです。例えば、天ぷら油をコンロで加熱中に台所を離れて引火したケースでは重過失が認められています。
▼賃借人の不法行為責任
さて、賃借人の過失(賃借人の家族・同居人の過失は賃借人の過失と同視されます)により失火した場合、賃借人は、賃貸人に対しては契約責任、同じアパートの他の住民に対しては不法行為責任(ただし、不法行為責任には失火責任法が適用される結果として故意・重過失があるときに限る)を負います(同じアパートの他の部屋の損害については、部屋そのものの修繕費用は賃貸人に対する契約責任、内部の家財の損害は他の住民に対する不法行為責任となります)。
そのため、賃貸人は、賃借人に対し、失火した過失を理由として、損害賠償請求をしたり賃貸借契約を解除して明渡しを求めたり、あるいはその両方をしたりすることができます。
なお、賃借人の損害賠償責任には、火による損害のほか、消火活動による損害(部屋が水浸しになった等)も含まれます。

▼契約解除と法的責任
なお、賃貸借契約の解除をするためには、通常は事前の催告が必要ですが、多くの裁判所は、過失による失火は重大な信頼関係違反に該当すると判断し、催告をせずに解除をしたとしても解除の効力を認めています。
また、建物が滅失したときは(修繕が不可能な物理的な全焼のほか、焼失した部分の修復が通常の費用では不可能といえるときは経済的な見地から「滅失」と判断されます)、賃貸借契約の目的物が消滅した結果として賃貸借契約は解除を待たず当然に終了します。
このように過失により失火した賃借人は、少なくとも賃貸人に対しては法的責任を免れることはできません。
とはいえ、火災で自宅を失った賃借人に十分な支払能力があることは期待できませんので、賃貸人自身が火災保険に加入した上で、賃借人にも借家人賠償責任保険に加入することを賃貸借契約の条件とし、借家人賠償責任保険の証書のコピーの提出を求めるなどの自衛策を講じておくべきです。
弁護士Y




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