▼無断駐車への対応法
賃貸駐車場のよくある困りごととして、無断駐車があります。
無断駐車をされた被害者としては、タイヤをロックしたりレッカー移動したりして対抗したい気持
ちになるかもしれません。しかし、最高裁判所は緊急やむを得ない特別の事情がある場合を除いて「自力救済」を禁止していますので、このような対抗措置をとると、逆に無断駐車をした人から損害賠償請求を受けることになります。
▽警察署に対応してもらう
無断駐車をしている車にどいてもらうための最も簡便な方法は、所轄の警察署に電話し(一一〇番には電話しないでください)、「自分の駐車場に無断駐車されて困っているので、無断駐車している車の所有者に連絡して警察からどくように伝えてほしい」と頼むことです。
筆者の経験では、無断駐車車両のナンバーを電話で伝えるだけで所有者にすぐに連絡してくれ、無断駐車車両はすぐにいなくなりますが、これは行政サービスにすぎないため、警察が連絡してくれないこともあるでしょう。
▽自力で対応する
警察が連絡してくれないときや、警察が連絡してくれてその時はどいたものの無断駐車が繰り返されるときは、自分で対応するしかありません。
まずやるべきことは、無断駐車車両をスマホで写真撮影することです。車外や車内の状況を様々な角度から写真撮影することで、当該車両が無断駐車した事実を証拠化することができます。無断駐車が行われたという日時をメモしておくことも忘れてはなりません。
また、警告文書(写真撮影をしてナンバーを記録した事実を告げ、無断駐車を繰り返したときは断固とした措置をとる旨を記載したもの)を作成し、ワイパーに挟んでおいてもよいでしょう。
▽弁護士に依頼する
五万から十万円程度のコストを払って弁護士に依頼する方法もあります。弁護士に依頼すると、弁護士は車両のナンバーから所有者を調査して警告文書(弁護士の要求に応じないと裁判をする旨が記載されたもの)を郵送してくれます。
弁護士名での警告文書を受け取った人は、民事裁判の被告になる現実的なリスクを実感するため、「言うことを聞かないと大変なことになる」と思ってもらいやすくなります。
これに対し、弁護士に依頼しなくても、自分で運輸支局や自動車検査登録事務所に行き、三百円の手数料を支払えば、所有者の氏名や住所が記載された「登録事項証明書」をもらうことができます。登録事項証明書の交付請求にはナンバーと車台番号が必要ですが、放置車両の場合は車台番号の代わりに図面と写真で交付請求ができます。
所有者の氏名や住所が分かれば、自分の名前で警告文書を郵送することができます。
しかし、同じ内容の警告文書が届いたとして、そこに弁護士名がある場合とない場合とでは、受け取った人の印象は全く違います。警告文書の目的は、前述したとおり「言うことを聞かないと大変なことになる」と相手に思わせ、無断駐車の意思を失わせる点にあるわけですが、この緒戦に失敗すると非常に面倒な事態になります(続く)。
元弁護士Y
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