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金利上昇がもたらすアパートローンへの影響

▼日本の金利は上がっている?

 今年3月~7月にかけて、10年物国債の利回りが、日銀が上限として設定する0.25%を突破する場面がありました。

10年物国債の利回りは、長期金利の代表的な指標として活用される数字で、景気と連動することから「経済の基礎体温」と呼ばれることもあります。

 利回りが上昇した主な要因は、アメリカのインフレにあります。今年2月、日銀はそれまで「0%程度」に誘導していた10年物国債の利回りを。上限である0.25%に引き上げました。約3年半ぶりの公開市場操作だったそうです。ところが、この時すでに利回りは0.2%台に突入しており、3月以降、0.25%を突破する場面が何度かありました。こうした状況から、不動産投資家の間では「アパートローンの金利が上昇するのではないか」という懸念が広がっています。


▼最近の金利の動向

 最近の10年物国債利回りも見ていきましょう。7月末に0.2%台を割り込み、8月中旬現在まで0.17%台~0.20%台を行き来している状況です。おおむね3月前半と同じくらいまでに下降しています。

 下降した要因として考えられるのは、日銀が0.25%を上限とする方針を変更しない姿勢を見せていることや、アメリカの長期金利が低下していることです。

 先の見通しはわかりませんが、インフレはいずれ収束します。経済の専門家が、アメリカのインフレ収束時期の予測を立てていますので、気になる方はインターネットで検索してみてください。


▼アパートローンの金利

 アパートローンの金利には、固定金利(全期間/選択期間)と変動金利があります。

 固定金利は長期金利の影響を、変動金利は基準金利(短期プライムレート)の影響を受けます。住宅ローンで見てみると、3メガバンクでは最近まで固定金利の引き上げが続いていましたが、今年6月適用分では引き下げに転じています。

 一方、変動金利は特に変わっていません。今後もすぐには上昇しないだろうとの見方が強いです。短期プライムレートが金融政策の影響を受けるため、日銀の方針が変わらないことが影響していると考えられます。

 ここ数ヶ月間の動向のみを見れば、徐々に落ち着いているように感じられるかもしれませんが、先のことはわかりません。アメリカのインフレ収束はまだ先だとする専門家もいますし、黒田総裁の任期が終了したタイミング(2023年4月)以降で方針が変わるのではないかという専門家もいます。


▼金利上昇時の対応

 金利上昇時の対応としては、繰り上げ返済をする・借り換えをする・変動金利の上昇であれば固定金利を検討する・売却するなどが考えられます。平素から資金繰りを見直し改善しておくことで選択肢が増えます。不安定な時期ですが、賃貸経営の見直しの機会として活用すると良いかもしれません。


一級FP技能士 石田夏

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