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電子帳簿保存法の改正 「電子取引」の保存に関する制度①

 電子帳簿保存法の改正により「電子取引」において授受した電子データは、原則、データのまま保存しなければならなくなりました。

 保存する際には「真実性の要件」と「可視性の要件」を満たす必要があり、データをパソコンなどに単に保管するだけでは、法的要件を満たさない可能性があります。


▽電子取引とは

 「取引情報」を電磁的方式により授受する取引(例:メール、EDI取引、自社のインターネットサイトを通じた取引など)


▽取引情報とは

 取引に関して受領・交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項

※「〇〇書」のようなデータのほか、メール文に取引情報にあたる文面があれば、そのメール文も取引情報にあたります。


▽適用開始時期(原則)

 令和4年1月1日


▽経過措置

 令和5年12月末までは紙に出力する従来の保存方法も可。(紙に出力したものを税務調査時に提示・提出できる場合に限る)


▼制度の全体像

 法人税・所得税法には、一定の帳簿書類を「書面」で保存する義務があり、青色申告承認の要件の一部とも重なっています。電子帳簿保存法とは、同法の「書面保存」を「データ保存」で代替できるよう、平成10年度税制改正によって創設されました。


▽電子取引の保存対象の区分

 現行の電子帳簿保存制度は、保存対象別に「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3区分で保存要件が分かれます。

 イメージとしては、帳簿や決算書類など自社内のものは「電子帳簿保存」、相手との取引において紙で授受した書類は「スキャナ保存」、これをデータで授受した場合は「電子取引」となります。


▽電子取引のみデータ保存が義務化

 「電子取引」は、授受したデータを紙に出力して保存する対応も認められていたのですが、今回の改正でそれが廃止され、データで保存しなければ法律上の保存要件を満たさない扱いとなりました。

 その結果、「電子帳簿保存」「スキャナ保存」はこれまでどおり利用したい事業者のための制度であることに対し、「電子取引」のデータ保存は多くの事業者に強制的に適用される制度となりました。


▼真実性・可視性の要件

 電子取引で授受した取引情報は、真実性・可視性の要件を両方とも満たす方法で保存する必要があります。

 具体的な内容は次の表をご確認ください。


一級FP技能士 石田夏

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