原状回復トラブルと対処法②〈事例検討〉
- 6月28日
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今回は、国交省が公開している参考資料に記載された具体的な事例で検討してみます。
▼事例の状況
参考資料では、クロスは、タバコのヤニによる変色や臭い、ペットによるキズや臭い、落書き、破れやキズ、台所の使用後に適切な清掃をしなかったことで固着した油汚れやスス、結露を放置したことによるカビや腐食、フローリングや畳は、破損、飲食物をこぼした後に適切な清掃をしなかっ
たことで発生したシミやカビについて紹介されています。
▼クロスの張替え
クロスの毀損について、ガイドラインは、毀損部分がある壁一面の張替費用を認めています(残りの壁三面と天井の張替費用は、毀損部分がなければ認めず、実際に張り替えたとしても全額賃貸人負担となります。なお、タバコのヤニによる変色や臭いがあるときは全ての壁と天井の張替費用が認められます)。
ただし、ガイドラインは、クロスは張替後6年で残存価値が一円になると考えるため、張替えから賃借人の退去日まで2年が経過していれば張替費用(材料費を含む工事業者に支払った総額)の66%を、4年が経過していれば33%を賃借人に請求することができますが、6年が経過していれば残存価値は一円になるため、賃借人に請求できる金額はゼロとなります。
ただし、経過年数6年で残存価値が1円になるという考え方は、あくまで税務上の基準です。実際には、通常使用の住宅であれば30年程度使用されるケースも珍しくありません。

▼フローリングの張替え
フローリングの毀損について、ガイドラインは部分補修で対応できるときは部分補修で対応し、毀損部分が床全面に及んでおり部分補修では対応できないときは床全面の張替費用を認めます。
フローリングの張替工事は、部分補修であれば経過年数は考慮せず張替費用の全額を賃借人に請求することができますが、床全面の張替えに及ぶときは、建物の耐用年数に応じた経過年数を考慮します。例えば、木造住宅の耐用年数は22年のため、新築直後に貸し渡して3年後に退去したときは張替費用の13.6%を賃借人に請求することができます。
とはいえ、フローリングもクロスと同様に、普通の住宅で普通に利用する限り30年たったとしても張り替えることなく日常生活をすることができます。
ここまで検討したとおりガイドラインは原則として経過年数を考慮するため、賃貸経営者にとっては酷な結論になりがちです。特にクロスの場合は、極論、壁全体に落書きをされても、退去日が前回の張替えから6年が経過していれば、張替費用を一円も請求できないという結論になりかねません。
ならばどうしたらよいのでしょうか。賃貸経営者にとって重要なのは、事前に賃貸借契約書(特には特約事項)へ具体的に明記しておくことです。
弁護士Y

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