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『建物メンテナンス』の重要性 ブロック塀が崩れて怪我をさせたとき

 昨年6月、小学校のブロック塀が崩れ、小学4年生の女の子が下敷きになって死亡するという痛ましい事故がありました。

 建築基準法では、ブロック塀の高さや厚さ、基礎の根入れや控え壁の有無、鉄筋の太さや間隔などの細かい仕様を定めています。この小学校のブロック塀は、2.2m以下という高さの基準を1.3mも超過し、控え壁も設置していなかったことが原因とされています。

 事態を重く見た政府が直ちに全国の小中学校の塀を点検するように指示したところ、各地の小中学校は競い合うようにして凄まじいスピードで点検が完了しました。

しかし、個人が所有するブロック塀について学校と同じように点検が完了したという話は聞きません。ほとんどの人は他人事として捉えているのではないでしょうか。


▼ブロック塀が崩れた際の責任

 ブロック塀が崩れて通行人を死傷させたとき、ブロック塀の所有者は、ブロック塀に欠陥(これを法律用語で「設置保存の瑕疵」といいます)がある限り、被害者に対して無過失責任を負うことになります。

 ブロック塀の設置の瑕疵とは、簡単に言うと、ブロック塀を建築した時点の建築基準法ないし同法施行令が定める基準に適合しているかどうかということです。


 また、ブロック塀の保存の瑕疵とは、簡単に言うと、建築後に基準が改正されたことで改正前の旧基準には適合するものの改正後の新基準には適合しなくなってしまったり、新築時点では基準に適合していたものの老朽化によって基準に適合しなくなってしまったりしたときのことです。


 ブロック塀の点検を怠った結果、地震等で倒壊し、通行人を死傷させると、場合によっては億単位の莫大な賠償金の支払義務が課せられることになります。

 それが重大な過失であるとされると、自己破産をしても免責されず、子供が相続放棄をしなければ損害賠償義務が子供に相続されることになってしまいます。


▼ブロック塀の耐用年数

 ブロック塀は案外耐久年数が低いようです。地面と接する基礎の根入れ部分から水が内部にしみ込むことから、多くのブロック塀では20年ほどで鉄筋にサビが入るようになり、鉄筋に入ったサビがブロック塀を急速に劣化させます。

 日本建築学会はブロック塀の耐久年数を30年ほどであるとしていますので、安全性を速やかに点検しなければならないブロック塀が極めて多く存在していることになります。


 市区町村役場に相談すればブロック塀の点検業者を紹介してくれますし、ブロック塀の撤去や修繕をすると補助金が支給される地域もありますので、ブロック塀の安全性に少しでも不安があるときは速やかに市区町村役場に相談することをお勧めします。


(元弁護士Y)

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