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【法律】家賃滞納時の法的対処方法①

 賃貸業における最大のリスクは家賃の滞納です。空室は機会損失だけで済みますが、家賃が滞納されると、機会損失のほかに滞納者を退去させる時間とコストがかかるからです。

 そこで、今回は「家賃滞納時にどのように対処すれば、最も時間とコストを掛けずに済むか」をシリーズでお伝えします。


▼即座の行動が重要

まず、最も重要なことは、家賃滞納を把握したときは、即座に行動するということです。

 滞納者にとっては、一般に住居を失うことが最もつらいため、他の支払いを犠牲にして

も家賃の支払いをしようと努力します。それにもかかわらず家賃が滞納されたということは、滞納者はかなりの窮地に陥っており、冷静な判断ができないことを意味します。 

 そこで、貸主としては、滞納者に対し、「家賃の滞納は絶対に許さない。このままだと退去してもらうことになる」という断固たる意志を即座に示し、家賃の支払いよりも他の借金の支払いを優先させるという滞納者の考えは間違っていると宣言し、滞納者の目を覚まさねばなりません。この最初の対応を誤ると、滞納者は「家賃を少しばかり滞納しても追い出されることはない」と甘く考え、家賃の支払いよりも他の支払いを優先するようになります。


 具体的には、1日でも家賃が滞納されたときは、例え数日遅れで支払いがなされたとしても、必ず会いに行き、支払いが遅れた事情を聞くべきです。なぜなら、複数の支払先を抱えた人は、支払いをしないとうるさく文句を言われるところから優先して支払いをしていくからです。

 「家賃を1日でも滞納したら大変なことになる。絶対に許してもらえない」と思わせることが非常に重要です。

 その際、電話や手紙で済ませるのではなく、必ず訪問してください。不在でも、「●月●日●時●分に訪問しましたが、ご不在でしたのでメモを残しておきます。このメモを見た当日か翌日中に必ずご連絡ください。電話番号は●●です。貸主●●」という手書きのメモを残しておくべきです。これが滞納者にとっては大きなプレッシャーになり、今後、支払先を迷ったときに家賃の支払いを優先しようと考える精神的な重しとなります。


▼保証人に連絡

 支払日を10日すぎても支払いがなされず滞納者から何らの連絡がないときは、保証人に連絡し、滞納家賃を代わりに支払うよう求めてください。連帯保証人には、滞納者本人に先に請求してほしいと求める権利はありませんので、法的には貸主からの支払請求に応じなければならない義務があります。

 もっとも、目的は滞納家賃の回収ですから、保証人から「すぐに本人に連絡し、払わせるようにします」と言われたら、「今回に限ってはそれで構いませんが、次回からは保証人に直接ご請求することになりますので、以後、家賃を滞納しないよう、本人によく言い聞かせておいてください」と伝えておけばよいでしょう。

 問題は、その後も本人による滞納が続き、保証人による任意の支払いもなされなかったときです(続きは次回へ)。


(元弁護士Y)



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