高齢者や子育て世帯、低所得者、障害者などは、法律で住宅の確保が難しい「要配慮者」と定義されています。そして現在、国会において要配慮者でも住宅を借りやすくなる仕組みが整備されようとしています。
その中で、条件を満たす家賃債務保証業者を国が認定する登録制度、要配慮者が賃貸住宅へ入居する際の情報提供や見守り、家賃債務保証を行う居住支援法人の機能向上が新たに検討されています。
今回はこの2点をテーマに、家主へどのようなメリットが生まれるのかを解説します。
▼単身高齢者の家賃滞納リスクを軽減
要配慮者の中でも特に単身の高齢者は、家賃滞納のリスクが高く、貸し渋りが起きたり、家賃保証会社の審査に通りづらかったりする現状があります。
今回検討されている法改正では、原則として要配慮者の保証を引き受けることや緊急連絡先を親族などの個人に限定しないこと条件に、国が家賃保証会社を認定するものとなっています。
認定された家賃保証会社側には、住宅金融支援機構が提供する家賃保証会社向け保険の補塡率を特定の住宅に対しては高く設定してもらえるというメリットがあるため、認定を希望する家賃保証会社は一定数現れるだろうと予想されます。
また、家主が住宅確保要配慮者の入居を拒まない専用賃貸住宅として自治体に登録すると、その住宅のバリアフリー化や耐震改修工事などの改修費や、低額所得者が入居する際の費用への支援措置も受けられるようになる見込みです。
▼孤独死による遺留品の処分もしやすく
単身高齢者に住宅を貸す際のもう1つのリスクとしては、孤独死とその後の遺留品処分問題があります。今回の法改正がされれば、都道府県が指定する居住支援法人は、これまでの業務に加えて、入居者からの委託があれば死亡後の不用品などの残置物を処分できるようになります。委託は入居者から行うもので義務ではありませんが、入居時の条件にできればリスク軽減なるでしょう。
また、入居者が亡くなった場合、賃借権は相続されます。これについては賃貸契約が相続されないようにする特例の使い勝手を向上することで、家主の事務負担を減らすことが検討されています。
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