top of page

2022年10月の火災保険料率・制度改定について解説

▼火災保険料引き上げ率とその原因

 令和3年5月、火災保険料の参考純率が全国平均で10.9%引き上げられることが、損害保険料率算出機構から発表されました。

 火災保険料の参考純率とは、保険金の支払いデータ等から算定された、純保険料(保険金に充てられる保険料)の改定の参考にされるものです。実際に保険料を引き上げるかどうかは、各保険会社の判断となりますが、大手保険会社などでは、すでに令和4年10月以降の新規契約分・契約更新分から、火災保険料の値上げ改定が進んでいます。


▽自然災害と古い住宅の増加が原因

 今回の参考純率の引き上げの原因は、①自然災害リスクの増加と、②古い住宅の割合の増加の2つにあると発表されています。

 ①は、豪雨や台風など大規模な自然災害の発生による保険金の支払い額の増加によるもので、②は、築年数が古い住宅の割合が増えたことによる保険リスクの増加に備えたものとなります。築年数が古い住宅は、自然災害による損壊リスクのほか、電気・給排水設備などの老朽化による火災や水濡れによるリスクが高いことから、こうした住宅が保険対象に占める割合が増えることによって、保険料の引き上げが必要になるのです。

 古い住宅の増加は、これからも続くと見込まれますので、今後、さらなる引き上げの原因になる可能性があります。


▽最長の保険期間が5年に短縮

 令和4年10月以降の新規契約・契約更新において、その保険期間が、現行の最長10年から5年に短縮されることになりました。自然災害リスクの変化が激しく、長期的なリスクの評価が難しくなったことが原因です。

 保険期間の短縮は、一見すると保険料の金額とは無関係に思えますが、保険料は保険期間が長い程月々の保険料が割安になるため、5年に短縮されたこともまた、保険料が上がる要因になります。さらに、契約更新までの期間が短縮されることによって、保険料の改定の影響が今よりも早く反映されることになります。


▼都道府県による引き上げ率の違い

 参考純率の引き上げ率は都道府県によって異なります。築10年以上の住宅を例に、三大都市圏の中で保険契約の件数が多い東京、大阪、愛知、そして全国で保険料率の引き上げが最大

・最小となった都道府県の計5つでその差を比較したところ、三大都市圏では大阪府の上昇率が高く、地方では宮崎県、山梨県、沖縄県の上昇率が高いことがわかりました。(表の例は、保険金額を建物二千万円、家財一千万円とした場合の改定率になります)

※実際の保険料の改定率は保険会社によって変わります。


▼補償の見直し・複数社の見積を

 次回更新時、多くの不動産オーナーが火災保険料引き上げの影響を受けると考えられます。次回更新時は、不要な補償を外したり、複数社から保険料の見積もりをとったりするなど、火災保険契約の見直しをするようにしましょう。


一級FP技能士 石田夏

閲覧数:1回

Comments


bottom of page