top of page

セットバックで70%減額で評価

 セットバックとは建築基準法により、道路沿いの敷地の境界線を敷地内に後退させ、敷地の一部を道路として提供することをいいます。今回はセットバックによる評価減についてお伝えします。


▼建築基準法の接道義務と2項道路

 建築基準法では接道義務(※)を果たす道路の幅を、原則「4m以上」必要とし、それを下回る道路で特定行政庁の指定を受けたもの(いわゆる2項道路)については道路の中心から2m後退したラインを道路との境界線とみなすこととしています。

 セットバックとは、この2項道路による道路と敷地の境界線の後退のことです。

(※)災害時の避難や通行時の安全確保のため、建築物の敷地は道路に2m以上接していなければならないとする義務


 たとえば幅3mの2項道路に沿って家を建てる場合、両側の敷地の所有者がそれぞれ道路との境界線を0.5mずつ後退させれば、道路の中心線から両側に2mずつ、計4mを確保できます。道路の片側が崖地、川、線路などの場合は、中心線ではなく崖地などがある側から4m後退します。


▼セットバック部分の評価額

▽セットバック部分は70%減額に 

 セットバックは、所有者にしてみれば土地の使用制限に等しいものです。このことから贈与税や相続税を計算する際に用いる相続税評価額では、セットバックを必要とする部分を通常の70%減で評価することができます。

 たとえば300㎡の宅地のうち、30㎡がセットバック部分にあたる場合で考えてみましょう。セットバックを考慮せずに計算した評価額が一千万円である場合、この宅地の相続税評価額は930万円になります。(右下図参照)


▽不特定多数の利用あれば評価ゼロ 

 立地状況によっては、セットバックによって道路として提供している部分が不特定多数の人の通行に利用されている場合があります。この場合、セットバック部分の評価額はゼロになります。



▼セットバックの確認方法

▽役所で確認する

 2項道路の情報は、特定行政庁が作成する指定道路図などで確認できます。役所の建築関係の窓口やホームページで閲覧することが可能です。


▽実地で確認する

 実際の土地を見て周辺の道路の状況を確認することも有効です。

 接している道路の幅が4m未満であり、同じ並びの土地の塀などが敷地内に向けて後退している状況があれば、セットバックを必要とする可能性が高いといえます。


▼過大納付納がある場合は還付を

 セットバックを見落としたまま、すでに相続税や贈与税を申告・納税してしまった場合、納税額が過大である可能性があります。

 法定申告期限から5年内であれば「更正の請求」によって税務署に還付を求めることが可能です。

税理士にご相談ください。

  

一級FP技能士 石田夏

閲覧数:1回

Comments


bottom of page