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タワマン節税 国税庁がルール見直しへ

 6月30日、国税庁はマンションの相続税評価の新しい計算方法を公表し、7月に同内容を定めた通達案を公開しました。同通達はパブリックコメント(現在、募集終了)の内容を踏まえて、令和6年1月1日以降の相続、遺贈、贈与におけるマンション評価から適用される見通しです。


▼市場価格の6割未満が対象に

 従来のマンション評価で問題視されている点は、マンション1室の市場価格と相続税評価額の乖離です。国税庁は、平成30年のマンションの約65%における評価額が、市場価格の半額以下だったことを公表しています。

 そこで、新しい評価方法では、評価額が理論上の市場価格の6割を下回るマンションを対象に、その評価額が6割に達するよう増額補正します。また、6割~10割のものには現行の評価方法が適用され、10割を超えるものがあれば評価額を10割に抑えるよう減額調整が行われます。

(※)6割未満のマンションとは後述する「評価乖離率」が1.67倍以上のマンションをいいます。


▽1棟所有は対象外

 マンション一棟(建物全体)を単独の者が保有している場合や、保有するマンションが棚卸資産(販売用の不動産)に該当する場合は、新しい評価方法の対象になりません。


▼新しいマンションの評価方法

 今回は、不動産オーナーの関心が特に高いと考えられる6割未満のマンションに対する増額補正の計算方法を解説します。

▽マンションの相続税評価額

 建物部分は固定資産税評価額に、土地部分(敷地利用権)はマンションの敷地全体の評価額に持分(敷地権割合)を乗じた額になります。マンションを賃貸している場合は、貸家と貸家建付地として評価額を計算します。


▽現行の評価額を補正率で増額

 新しい評価方法は、現行の評価方法で算定した建物と敷地部分のそれぞれの相続税評価額に、次の補正率を乗じます。

建物や敷地の相続税評価額×補正率

(※)補正率:評価乖離率×0.6


「評価乖離率」とは、評価額と理論上の市場価格との乖離率を表したもので、左表のA~Dを使用し、次の方法で算定します。

A+B+C+D+3.220

(※)AとDは減額(△)







▽2倍以上の増額になることも

 新しい評価方法では、A~Dの合計額が高いほど補正率が上がり、評価額が高額になります。A~Dは高層・新築・上層階ほど増額されやすい仕組みになっており、特に高層マンションではBが高くDが低いため、現行の方法の倍以上の評価額になるマンションが発生することが考えられます。なお、新しい評価方法については、今後さらに詳細な解説が国税庁から公表されると考えられます。

一級FP技能士 石田夏

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