超高齢社会が進展する中、2030年前後に多死社会・大量相続時代が訪れるといわれています。
それに伴い、「所有者不明土地」が、より大量に発生する可能性が高くなるとの懸念から、この問題の解決が喫緊の課題になっています。
そこで2020年4月、土地の利用や活用に関する指針を示した「土地基本法」が30年ぶりに改正され、「所有者不明土地」問題の解決に向けた事実上のキックオフとなりました。
▼主な法改正のポイント
①土地所有者等の土地の適正な「利用」「管理」に関する責務を明確化
土地の適正な利用及び管理等の確保のために、所有する土地に関する登記手続その他の権利関係明確化、土地の所有権の境界の明確化に努め、国又は地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力することとされています。
②国・地方公共団体の講ずべき施策の追加
土地所有者等自らによる適正な土地の利用・管理等を促し、これが困難な場合には土地所有者等以外の者(近隣住民や地域コミュニティ等)による円滑な利用・管理等を確保できるようにする
③地籍調査の円滑化・迅速化
固定資産課税台帳等の利用により所有者の所在を探索しやすくすることや、探索しても所有者の所在が不明な場合には、筆界案の公告等により調査を進め、地籍図を作成できることとする。
これにより、地籍調査の優先実施地域での進捗率を、現在の約8割から約9割とする。
▼今後の展開
「所有者不明土地」問題を解消するためには、更に具体的に踏み込んでいく必要があります。
問題解決をより一層進めるため「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等改正の検討を重
ね、2020年夏頃までには最終試案が出され、秋の臨時国会での法案成立を目指すことになっています(2020年5月時点)。
具体的には次のような改正点です。
「相続時の登記」を義務化する
「土地所有権の放棄」や、遺産分割を10年以内に行うなど「期間制限の設定」を行う
所有者不明土地の共有制度や財産管理制度、相隣関係規定を見直す
今後の動向に注目です。
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